アルセーヌ・ルパン(読み)あるせーぬるぱん(その他表記)Arsène Lupin

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルセーヌ・ルパン」の意味・わかりやすい解説

アルセーヌ・ルパン
あるせーぬるぱん
Arsène Lupin

フランス推理作家モーリス・ルブランの創作した怪盗紳士。1907年『怪盗紳士』で登場したこの怪盗は、また同時に頭脳明敏な探偵でもあり、変化自在の変装名人でもあり、あるときはパリ警視庁総監に化けて、4年間も警視庁を自分の指揮下に治めるというスーパーマンぶりだった。ハンサム機知があって、ユーモアに富み、かなりの自信家だが、女性に恋するときは純情、どんな不可能と思われる盗みもやすやすとやってのけるが、貧しい者からは盗まず、対象は不正政治家や実業家ばかりという義賊ぶりを発揮する。その明敏な頭脳でこんどは逆に無実の容疑者を助けたり、いろいろの事件の真犯人を捜し出したりもして、ルパンは終わりのほうの物語では、完全な探偵役に回ってしまうこともある。この英雄キャラクターをもとにして、多くの映画、パロディー、コミックがつくられている。

[梶 龍雄]

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改訂新版 世界大百科事典 「アルセーヌ・ルパン」の意味・わかりやすい解説

アルセーヌ・ルパン
Arsène Lupin

フランスの大衆小説家モーリス・ルブランMaurice Leblanc(1864-1941)の連作・冒険推理小説の主人公。フランス語の発音はリュパン。いくつもの顔を持ち,世間をあっと言わせるような鮮やかな手口犯罪を重ねる一方,ときには名探偵として活躍し,しかも女性にはあくまでいんぎんな紳士である魅力的な人物。作者ルブランは最初《怪盗紳士アルセーヌ・ルパン》(1907)の主人公としてこの人物を創作し,以下《813》(1910),《水晶の栓》(1912)などの作品によって,世界的なベストセラー作家となった。ルパンは,ちょうどシャーロック・ホームズイギリスを代表するように,フランス人の好みにぴったりの人物であり,フランス民衆が心に描く古き良き時代の夢だったと言える。
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百科事典マイペディア 「アルセーヌ・ルパン」の意味・わかりやすい解説

アルセーヌ・ルパン

M.ルブランの書いた冒険推理小説の主人公。《怪盗紳士アルセーヌ・ルパン》(1907年)で初登場。パリ警視庁のガニマール警部に追われながら神出鬼没の活躍をする怪盗で,《水晶の栓》《アルセーヌ・ルパン対シャーロック・ホームズ》《8・1・3》など十数作がある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルセーヌ・ルパン」の意味・わかりやすい解説

アルセーヌ・ルパン
Arsène Lupin

フランスの推理小説作家モーリス・ルブランの小説に登場する怪盗紳士。

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