日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルフォンソ(12世)」の意味・わかりやすい解説
アルフォンソ(12世)
あるふぉんそ
Alfonso Ⅻ
(1857―1885)
スペイン王(在位1874~1885)。1868年の九月革命で母イサベル2世とともにフランスに亡命。ブルボン王政復古を企てるカノバス・デル・カスティーリョの支持を受け、イサベルに王位を放棄させたうえで、「共和制がもたらした混乱収拾、すべての刷新、寛容・リベラリズム・カトリシズムに基づく体制の確立を目ざす」旨の声明をイギリスで発表した。1874年12月にマルティネス・カンポスArsenio Martínez Campos(1831―1900)の王政復古クーデターが成功し、王位についた。1876年憲法の制定、第三次カルリスタ戦争(1872~1876)の終結、キューバ独立運動鎮圧とともに、カノバス・デル・カスティーリョとサガスタによる安定した政治が行われ、国家財政も立て直された。経済も比較的順調に発展し、「協調と再建」の治世として人々に記憶されている。しかし、この体制から排除された大衆が、インターナショナルの伝統のもとで組織化され、南部農村や北東部都市で激しい運動を展開したことも見逃しえない。生来病弱であったが、1885年11月25日28歳の誕生日を前にして、結核により病死。
[中塚次郎]