アルミナ磁器(読み)アルミナじき(その他表記)alumina ceramics

改訂新版 世界大百科事典 「アルミナ磁器」の意味・わかりやすい解説

アルミナ磁器 (アルミナじき)
alumina ceramics

酸化アルミニウムアルミナ)の焼結体で,工業的に製造,利用されている材料の総称窯業製品の中でも,とくに技術の蓄積が豊かな材料であり,品質の高級性,安定性,信頼性,量産性,互換性などに優れる。酸化アルミニウムの特性として,優れた耐熱性,硬質性,耐食性,絶縁性,伝熱性,透光性があるので,多方面の用途がある。とくに絶縁性,伝熱性を生かすため高純度,緻密(ちみつ),精密に作られたものは集積回路の基板あるいはパッケージ材料として,また上記のすべての特質を生かすものとして透光性の管状のものは高輝度照明ランプに使われる。硬質性を生かしたものは切削工具として,耐熱・耐食性を生かしたものは燃焼管るつぼ,高級耐火煉瓦などとして使われる。さらに生体内での耐食性を生かすものとして,人工歯根人工関節人工骨などに使う試みもなされている。
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化学辞典 第2版 「アルミナ磁器」の解説

アルミナ磁器
アルミナジキ
alumina porcelain

工業用に使用される溶融セラミック・ホワイトウェア(ceramic whiteware)で,主結晶相がアルミナであるものをいう(米国材料試験協会規格.ASTM-C242).アルミナ質磁器(aluminous porcelain)と称しているものは真磁器(true porcelain)成分の石英,あるいはカオリンの一部または大部分をアルミナで置換した磁器をいう.アルミナだけからなる焼結物を焼結アルミナ(sintered alumina)という.アルミナの含有量によって磁器の硬度,電気絶縁性,耐火度,あるいは耐酸性などの性質は向上するが,磁器化温度も高くなる.焼結アルミナは焼成温度が1850 ℃ 以上になるので,実用のアルミナ磁器では,通常,カオリン,滑石,アルカリ土類金属酸化物などを添加して焼成温度を1650~1800 ℃ に下げている.焼結アルミナは耐火度2050 ℃ であるが,1400 ℃ 付近から塑性変形を起こす.機械的,電気的,化学的性質にすぐれているので,酸化物セラミックスのうちでは用途がもっとも広い.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルミナ磁器」の意味・わかりやすい解説

アルミナ磁器
アルミナじき
alumina porcelain

酸化アルミニウム (アルミナ) を高温で焼成して磁器化したもの。アルミナの結晶であるコランダム α-Al2O3 を,配合,微粉砕,調整,成形の工程を経て,1500~1800℃の高温で焼成する。耐熱・耐食性に優れ,機械的に強く,硬度が大で耐摩耗性が高いほか,高温での電気絶縁性が大きいことや,良好な高周波特性をもつこと,さらに熱伝導率が高いなどの特徴をもつ。その性能は磁器中のアルミナ含有量によって異なり,含有量が多いほどアルミナ本来の性質を反映した磁器がつくれる。高温炉材,熱電対保護管や,真空管のスペーサ,レードムなどの電子管などにアルミナ磁器が多用されるようになったほか,集積回路における基板部品として利用されている。

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百科事典マイペディア 「アルミナ磁器」の意味・わかりやすい解説

アルミナ磁器【アルミナじき】

酸化アルミニウム(アルミナ)Al2O3粉末を成形,焼結した磁器。堅くじょうぶで耐熱性,伝熱性,透光性,耐食性,高周波絶縁性にすぐれる。切削用バイト,熱電対保護管,るつぼ,高周波絶縁材料,集積回路基板,高輝度照明ランプ,人工歯根,人工関節等に使用。
→関連項目特殊陶磁器

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