カオリン(英語表記)kaolin

翻訳|kaolin

デジタル大辞泉 「カオリン」の意味・読み・例文・類語

カオリン(kaolin)

《中国語から》長石を含む岩石の風化によってできた粘土。カオリナイトなどが主成分。名は、産地であった中国江西省の景徳鎮付近の山、高嶺(Kaoling)に由来。陶磁器アート紙コーティング、化粧品、薬の賦形剤ふけいざいなどの原料にする。白陶土。磁土。高嶺土

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改訂新版 世界大百科事典 「カオリン」の意味・わかりやすい解説

カオリン
kaolin

窯業原料となるカオリナイト鉱物を主成分とする粘土。カオリン鉱床には,熱水鉱床堆積鉱床風化残留鉱床などがある。一般に,熱水作用により形成されたものは,一次カオリン(粘土)といわれ,木節粘土のように,流水によって運搬され,湖底に堆積して形成されたもの(漂積粘土)は,二次カオリン(粘土)といわれる。中国の景徳鎮付近の高嶺Kaolingという山地に産する粘土が,古くから中国の陶磁器の原料として使用されていたので,この名がおこったといわれる。高嶺土,高陵土ともいう。窯業原料として使用されるほかに,製紙用,ゴム,樹脂の充てん用,紡績用,顔料用,化粧品用などに広く利用されている。イギリスのコーンウォール,ドイツ南東部,チェコ,北アメリカのジョージア地方,中国景徳鎮など著名な産地が多い。日本では,愛知県北部より岐阜県南部にわたる地域が代表的な産地であるが,そのほか山形県,福島県,鹿児島県下などにも産する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カオリン」の意味・わかりやすい解説

カオリン(鉱物)
かおりん
kaolin

カオリナイトkaolinite、ディック石dickite、ナクル石nacriteの三つの鉱物の総称。以上の三つにメタハロイサイトmetahalloysite、ハロイサイトhalloysiteを加えたものをいう場合がある。ディック石(単斜晶系)、ナクル石(単斜晶系)は外観上、カオリナイトと区別できない。ディック石、ナクル石は火成岩火砕岩の熱水変質鉱物として産する。カオリンは粘土として広い用途があり、日本でもカオリン鉱床として古くから採掘されている。

松原 聰]


カオリン(日本薬局方名)
かおりん
kaolin

中国の西安(せいあん)北東部にある高陵に産する天然産含水ケイ酸アルミニウムで、日本薬局方名。白色ないし類白色の砕けやすい塊、または粉末で、わずかに粘土様のにおいがある。化学的にはきわめて安定なもので、水に難溶である。水に潤すと暗色を帯び、可塑性となる。吸着剤として腸の異常発酵による下痢などに内用するほか、賦形剤にも使われ、消炎剤としてパップ剤の形で盛んに用いられる。また、精製カオリンは化粧品の原料としても用いられる。

[幸保文治]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カオリン」の意味・わかりやすい解説

カオリン
kaolin; china clay

高陵土 (白陶土) ともいう。岩石中の長石の分解でできた残留粘土で,一般に白色。主成分はカオリナイト Al2O3・2SiO2・2H2O またはハロイサイト Al2O3・2SiO2・4H2O である。水で練ると可塑性を生じ,乾燥すると強度が出る。 330℃以上で脱水し,溶融温度が高く,粘土中の最高耐火物。ハロイサイトは反応性に富み,硫酸アルミニウムの原料となる。陶磁器,セメント,ゴム,リノリウム,製紙,クレヨン,レーキなどに添加剤として使用される。

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化学辞典 第2版 「カオリン」の解説

カオリン
カオリン
kaolin

カオリン鉱物(カオリナイト,ハロイサイト,ディッカイト,加水ハロイサイト,ナクライト)よりなる耐火粘土で,焼成色が白色あるいは白に近いもの.主成分はケイ酸アルミニウム.不純物はおもに長石,けい砂,および雲母鉱物.不純物により長石質カオリン,雲母質カオリン,鉄の多いものを含鉄カオリンという.カオリナイトを主成分とする粘土は,陶磁器用,耐火物,さや用として用いられ,ハロイサイトを主成分とするものは,アルミナ製造用,硫酸アルミニウム製造用に利用される.

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岩石学辞典 「カオリン」の解説

カオリン

陶土

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世界大百科事典(旧版)内のカオリンの言及

【濁度】より

…これらの濁度成分は,きわめて微細なコロイド物質から比較的大きな粒子まで広範囲の分布をしており,定量に当たっては透視比濁法によるか光学的測定法を利用している。濁度の測定には,標準濁度物質としてカオリン(白陶土)かホルマジン高分子が使用され,カオリン1mgを蒸留水1lに含む場合の濁りを1度(1゜)と定義している。カオリンを標準物質とする濁度は,一般に濁りの高い水を測定する場合に適し,一方,ホルマジン高分子を利用する濁度は,濁度の低い水を精確に測定する場合に利用される。…

【土器】より

…焼成温度が600~800℃程度の土器は軟質で,たたいても低い音しか発しないが,1000℃を超える高温で焼き上げると硬質に仕上がり,たたくと高い音を発する。特殊例として,中国殷代には,純良のカオリナイトからなる白い土(陶土,カオリン)を用いて1100℃前後で焼成し,白く仕上げた硬質の土器(白陶)がある。600~800℃程度の焼成は,平地か凹地に燃料と土器を積み上げて焼く野焼きで十分である。…

※「カオリン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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