ケイ酸塩(または二酸化ケイ素)のケイ素の一部が,アルミニウムによって置換されて生ずる塩。ケイ素は4価,アルミニウムは3価であるから,その差を他の陽イオン(ナトリウム,カルシウムなど)によって補っている。実際の化合物におけるアルミニウムとケイ素との原子比は0~1/3である。天然に鉱物として多種,また多量に存在し,世界中のケイ酸塩鉱物の多くはこれに属する。これらをアルミノケイ酸塩鉱物という。そのうち,長石群,沸石群では,ケイ素およびアルミニウムはそれぞれが4個の酸素原子によって正四面体にとり囲まれており,四面体の頂点にある酸素原子はすべて隣の四面体と共有されている(図)。したがってこれらの鉱物では,酸素原子数と,アルミニウムおよびケイ素原子数の和との比は常に2である(たとえば,正長石KAlSi3O8,方沸石NaAlSi2O6・H2Oなど)。沸石はすき間の多い構造をもつのが特徴で,気体分子の吸着作用,触媒作用を示す。これに対しカオリンAl2Si2O5(OH)4では,アルミニウムのまわりには6個の酸素原子が配位して八面体構造をとり,その稜の三つを隣の八面体と共有していて,全体として層状構造の鉱物をつくっている。
→ケイ酸
執筆者:水町 邦彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ポリケイ酸([別用語参照]ケイ酸)の基本構造となる,SiO4四面体のSiの一部をAlで置き換えたアルミノケイ酸の金属塩.一般式はxMⅠ2O・yAl2O3・zSiO2・nH2O(ただし,金属は MⅡのものもあり,nは0の場合もある)で,ポリケイ酸と同じく鎖状,層状,網状など各種の構造のものがある.金属Mは,その骨格中ではなくすきまに入っている.地殻の主要成分として天然に多く存在している.長石類(正長石K2O・Al2O3・6SiO2),沸石(ゼオライト)類(方沸石Na2O・Al2O3・4SiO2・2H2O)はその例である.また,用途に応じて人工的に特定構造のものが合成されている.天然のアルミノケイ酸塩岩石はセメントや陶磁器の原料となる.ゼオライト(とくに合成ゼオライト)は,吸着剤,触媒,イオン交換体,モレキュラーシーブなどに利用される.また,合成アルミノケイ酸塩材は,装飾用,電気絶縁体などとして用いられる.アルミノケイ酸リチウム(Li2O・Al2O3・2または4H2O)は,耐熱食器材に用いられる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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