イタリア中部,トスカナ州の同名県の県都。人口9万1620(1990)。近代的な農業の中心地で,良質のオリーブ油やキャンティ・ワインを産し,また大規模な繊維工場がある。アレッツォはエトルリア時代すでに文化活動の中心となった町で,黒粘土ブッケロ製の壺が多く出土しており,アレッツォ焼の産地としても知られる。自治都市時代を迎えると,町は急速に発展し,現在も残る貴族の館,教会堂,塔などが建てられた。市民文化の水準も高く,アレッツォ出身のグイットーネは,ダンテ以前の時代を代表する詩人の一人である。詩人ペトラルカもこの町で生まれた。1384年,フィレンツェとの戦いに敗れ,その支配下におかれたが,15~16世紀に入っても町の繁栄は続き,風刺文学者アレティーノや《芸術家列伝》の著者バザーリらを生んだ。建築家ベネデット・ダ・マイアーノや,画家ピエロ・デラ・フランチェスカなどはこの町に傑作を残している。
執筆者:町田 亘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
イタリア中部、トスカナ州アレッツォ県の県都。人口9万1582(2001国勢調査速報値)。エトルリア人の主要都市として発足、のちにローマ人の植民地となる。ラテン名アレティウムArretium。11世紀に自治都市となり、14世紀前半に最盛期を迎えたが、その後停滞した。現在では伝統的な金銀細工や衣服の仕立てに加えて、機械工業が発達。さらに周辺の農村地域で生産される農産物の取引の拠点として、重要な役割を果たしている。また市中には中世やルネサンス期の多くの宮殿のほか、ピエーベ・ディ・サンタ・マリア教会(12~13世紀)、サン・フランチェスコ教会(13~14世紀)などがある。詩人ペトラルカの生地としても知られる。
[堺 憲一]
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