アレティーノ(その他表記)Pietro Aretino

改訂新版 世界大百科事典 「アレティーノ」の意味・わかりやすい解説

アレティーノ
Pietro Aretino
生没年:1492-1556

イタリア劇作家風刺文学者,艶本作家。アレッツォのしがない靴屋の子だが,ローマで教皇レオ10世に仕えて文名を高めるとベネチア定住。ここから代々ローマ教皇フランソア1世,カール5世からミケランジェロに至る世界一流名士に手紙を送って,聖ピエトロ騎士という名誉ある称号や金品・美術品等をたっぷり手に入れた。返礼しない名士はあくどい毒舌と風刺の対象にされた。独特の書簡文学がつくり出されたのである。《遊び女》(1526),《哲学者》(1546)など5編の喜劇は風刺がきき世相がうかがわれる佳作である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アレティーノ」の意味・わかりやすい解説

アレティーノ
Aretino, Pietro

[生]1492.4.19. アレッツォ
[没]1556.10.21. ベネチア
イタリアの詩人,劇作家。青年時代ペルジャで文学修業につき,1517年ローマに出た。同地でアゴスティーノ・キージやジュリオ・デ・メディチ枢機卿の庇護を受け,政治詩や風刺詩を発表,多くの王侯貴族にその辣腕を恐れられた。アリオストが彼を「王侯の鞭」と名づけたことは有名。主著詩集『新作品』 Opera nova (1512) ,『書簡集』 Lettere (21~22) ,風刺的対話集『談論』 Ragionamenti (36) ,喜劇『娼婦』 La cortigiana (25) ,『タランタ』 La Talanta (42) ,『偽善者』L'ipocrito (42) ,『哲学者』 Il filosofo (44) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アレティーノ」の意味・わかりやすい解説

アレティーノ
あれてぃーの
Pietro Aretino
(1492―1556)

イタリアの詩人、劇作家。ルネサンス人のもつ自由で闊達(かったつ)な気風をもっとも鮮やかに体現した文学者の一人。フィレンツェ近くのアレッツォに靴職人の子として生まれる。ローマの銀行家や法王など権力者の庇護(ひご)を受けながらも、王侯貴族の生活をあばく痛烈な風刺作品を次々と書きまくった。しかし彼の自由奔放な生き方は、一部からは敬遠されながらも、人柄のよさと相まって、広い共感を失うことがなかった。代表作に喜劇『遊女』(1526)、『タランタ』(1542)、『哲学者』(1544)、詩集『アンジェリカの涙』(1538)、『書簡集』(1521~1522)がある。

[小林 惺]


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世界大百科事典(旧版)内のアレティーノの言及

【イタリア演劇】より

…彼の喜劇は現在《オリンピア》《仇どうしの兄弟》など14編しか残っていないが,古代ローマ喜劇と同じような食客,召使,衒学(げんがく)者などが登場する類型的なイタリア喜劇であった。あえて卑わいさもいとわないような世俗精神の持主であった,P.アレティーノのいくつかの喜劇《宮廷喜劇》《偽善者》《哲学者》などもルネサンス演劇の中で重要な位置を占める。しかし,ここではベオルコAngelo Beolco(1502‐42)の名を落とすことはできない。…

※「アレティーノ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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