インドネシアに広く分布する竹製打楽器。アンコロンともいう。全長の半分ほどを斜めに削り取った竹筒を,1オクターブずつ高さの違う2~3本を組にして竹枠につるし,揺すって音を出す。竹筒の下端に残された突起が,下枠の竹管に設けられた溝の中を往復して,澄んだ音を響かせる。音高の異なる9~14個を,1人が1~2個ずつ受け持って,掛合いで合奏する。ジャワ島西部では,アンクルンに太鼓,ゴング,オーボエ属の管楽器もしくは竹笛の加わった合奏(ガムラン)が一般的で,アンクルン奏者が同時に,熱狂的で滑稽なしぐさで踊る。また,バリ島東部では,アンクルンに金属製打楽器の加わったガムラン・アンクルンが,村や寺院の儀式に不可欠の音楽を担っている。なお,ジャワ島東部およびバリの一部では,しばしば竹琴をこの名称で呼ぶことがある。
執筆者:田村 史子
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インドネシアの竹製の打楽器。おもなものとして次の2種があげられる。
(1)主としてスンダ地方(西ジャワ)で用いられているラットル(振って鳴らす体鳴楽器)の一種。オクターブに調律した竹筒2~4本を格子の枠の溝にはめ、片手で枠を支え、他方の手で振り鳴らして奏す。現在では西洋音階に調律され、複数の人が交互に鳴らす旋律楽器として用いられることが多いが、本来はリズム楽器で、1人1人の異なるリズムパターンを幾層にも重ね合わせたアンサンブルで奏される。最近では、長い枠にピアノの鍵盤(けんばん)のように音階順に並べたセットも登場し、1人または数人で奏される。ジャワ島を中心に、スマトラ島、ボルネオ島などでみられ、バリ島では他の各種の楽器との合奏ガムラン・アンクルンがさまざまな儀式のなかで発達してきた。
(2)東ジャワ、バニュワンギ地方の竹琴(ちくきん)。12~14本の竹筒を木の枠に紐(ひも)で取り付け、枠をスタンドに留め、木または竹製の長い桴(ばち)で奏す。この楽器を主体とするガムラン・アンクルンで使われる。バリ島にはこれと同種の竹琴、グランタンgrantangがある。
[川口明子]
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