アンシャン・レジーム(読み)アンシャンレジーム

百科事典マイペディアの解説

アンシャン・レジーム

フランス革命期の1790年以後,革命に先行する時代の制度と実践の全体を意味して使われはじめた言葉で,革命は根本的に新しい秩序を樹立しつつある,という当時の革命家の意識の産物だった。1792年8月10日の王政の停止,とくに1793年1月21日のルイ16世の処刑以後,過去の体制を否定する実践が広まるにつれて,民衆レベルでも用いられるようになる。歴史学の概念としては,トックビルの著作《アンシャン・レジームと革命》(1858年)やテーヌ《現代フランスの起源――アンシャン・レジーム》(1875年)とともに一般化した。
→関連項目名士会抑制と均衡

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

アンシャン・レジーム
あんしゃんれじーむ
Ancien Rgimeフランス語

1789年のフランス革命以前の政治・社会状態をさす。「旧制度」と訳されるこの用語は、憲法制定国民議会の法令などに現れているが、すでに1788年ごろから体制批判のパンフレットに使用されている。1790年ミラボーは国王への書簡のなかで「諸事物の新しい状態を旧制度と比較して御覧ください」と記しているが、立憲君主派から山岳派に至るまで、旧制度とは、革命によって打倒されなければならない政治・社会体制であった。この発想には、古いものが一掃されることでより優れた新しいものが創造されると考える進歩主義思想が表明されている。
 このような旧制度観は、革命観と革命行動に密接に関連するものであるが、かならずしも旧制度といわれる時代の実態を表示しているとはいえない。革命以前といっても、通常、旧制度とは16、17、18世紀の体制をさしている。この3世紀間に共通した特徴は、社会的には、慣行と伝統文化と互助機能を介して成立する農村共同体や都市内諸団体を生存基盤とする社団的社会を形成していることにあり、政治的には、これらの諸団体を僧侶(そうりょ)、貴族、特権都市の市民という3身分に固定し、そのおのおのに助力と協賛を求める王権が、諸身分団体および諸地方諸都市のそれぞれ固有の慣行と伝統文化を特権として保障する公権力的性格を主張することにある。そして、社団的結合が緩み、その解体が進行する反面、王権は諸団体や諸地方、諸身分の特権を縮小し、いっそう公権力的性格を強化し、斉一的支配へと志向するのがこの時代である。[千葉治男]

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