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アーシュラマ āśrama

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

アーシュラマ
āśrama

サンスクリット語で住期の意。インド古代の法典では,3上流階級であるバラモンクシャトリヤバイシャの生涯を,学生期,家住期,林住期,遊行期 (遍歴期) の4住期に分ける。学生期 brahmacārin (梵行者) では,ベーダ聖典を読誦し,祭式の施行法を学ぶなどの宗教教育を受ける。5~12歳でこの住期に入り,約 12年間修行する。学生期を終えたものは家住期 gṛhastha (家長) に入り,結婚し男児をもうけることを義務づけられる。林住期 vānaprastha (林住者) においては,息子に家を託して森林に隠遁する。最後の遊行期 sannyāsin (遍歴行者) では,諸国を遍歴し,托鉢のみによって生活をする。以上の4住期はヒンドゥー社会における理想的なあり方であり,現実には必ずしも守られていなかったようである。なお,āśramaには,「聖者の隠棲所」という意味もある。現在では,聖者の指導のもとに修行者が共同生活する道場を意味する場合が多く,アシュラム ashramと呼ばれている。

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世界大百科事典 第2版の解説

アーシュラマ【āśrama[サンスクリツト]】

インドのバラモン教徒が生涯のうちに経過すべきものとして,バラモン教法典が規定する四つの段階で,〈住期〉と訳す。これによれば,バラモン教徒すなわちシュードラを除く上位3バルナは,(1)師のもとでベーダ聖典を学習する学生(梵行)期brahmacarya,(2)家にあって子をもうけるとともに家庭内の祭式を主宰する家住期gārhasthya,(3)森に隠棲して修行する林棲期vānaprastha,(4)一定の住所をもたず乞食遊行する遊行期saṃnyāsaの4段階(〈四住期〉)を順次に経るものとされ,各段階に厳格な義務が定められている。

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世界大百科事典内のアーシュラマの言及

【スナータカ】より

…古代インドのバラモン教で,四つのアーシュラマの第1である学生期〈ブラフマチャリヤ〉を満了する儀礼を行った者を指す呼称。直後に結婚式を行い家住期〈ガールハスティヤ〉に入るまでの短く特殊な期間であり,独特の生活法が定められている。…

【ダルマ】より

…(1)規範としてのダルマ ヒンドゥー教ではふつう,ダルマというだけでヒンドゥー教そのものを意味する。ヒンドゥー教徒にとって,ダルマとは,ベーダ聖典の権威を認め,バラモン,クシャトリヤ,バイシャ,シュードラという四つの階級(バルナ)と,学生期,家住期,林棲期,遊行期という四つの生活段階(アーシュラマ)ごとに定められた社会的義務を遂行することである。あるいは,ベーダ聖典などによって定められた祭式を,正しい順序を追って執行することである。…

【ダルマ・シャーストラ】より

…〈ダルマ・シャーストラ〉の規定もその大部分が宗教的な権利・義務に関するものであり,一部に現在の刑法・民法に相当する部分を含んでいる。その具体的内容を大別すれば,(1)バラモンをはじめとする4階級それぞれの権利と義務,(2)人生においてふむべき四つの生活期〈アーシュラマ〉のそれぞれにおける権利と義務,(3)王の権利・義務および行政,軍事,外交などについての規範,(4)刑法および民法,(5)贖罪(しよくざい)の規定,などがあげられ,さらに神話的な宇宙論,輪廻(りんね)や解脱(げだつ)についての教説を含むものが多い。ベーダ以来のバラモン至上主義を反映して,バラモンすなわち祭官階級の利害を最重要視した規定の多いことが特徴としてあげられる。…

【ダルマ・スートラ】より

…サンスクリットの〈ダルマ〉は通常〈法〉と訳されるが,現代的意味での法律のみならず,宗教的要素をも多分に含んでいる。ダルマ・スートラの規定も,日常の宗教的慣習,清めや贖罪,四つの住期〈アーシュラマ〉のそれぞれにおける権利と義務など,宗教的義務に関するものが大部分で,一部に家族法や裁判・訴訟に関する規定など民法,刑法に相当する部分を含んでいる。前500年前後から漸次に成立したと推定され,現在は《アーパスタンバ・ダルマスートラĀpastamba‐dharmasūtra》《バウダーヤナ・ダルマスートラBaudhāyana‐dharmasūtra》など数種が伝わっている。…

【バラモン教】より

…これをバルナ制(カースト制)といい,インド社会はバラモン,クシャトリヤ,バイシャ,シュードラの四つのバルナに区分され,この区分を侵すことはかたく禁じられた。またバラモン教では,バルナの成員が一生の間に踏むべき段階(生活期,アーシュラマ)が規定されている。学生期,家長期,林棲期,遊行期の四つがそれである。…

【ヒンドゥー教】より

…したがってヒンドゥー教は,ピラミッドの頂点に立つ極度に発達した哲学体系からその底辺にある最も原始的な信仰や呪術をもその中に取り込んでいる。ヒンドゥー教は高度の神学や倫理の体系を包括しているばかりではなく,カースト制度やアーシュラマ(生活期)制度をはじめ,人間生活の全般を規定する制度,法制,習俗などを内包している。ヒンドゥー教は宗教というよりもむしろ生活法a way of lifeであるといわれるのも,以上のような性格に由来している。…

※「アーシュラマ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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