イネ科(APG分類:イネ科)の一、二年草。ネズミムギともいう。葉は細長く、長さ5~30センチメートル、幅0.5~1センチメートル、裏面につやがある。若い葉は円錐(えんすい)状に巻いて現れる。初夏に穂が出て、高さ50~80センチメートルとなる。穂は2センチメートルほどの小穂が穂軸に向かい合って互生するため扁平(へんぺい)。護穎(ごえい)には1センチメートルほどの芒(のぎ)がある。原産地は地中海沿岸で、日本へは明治初期に渡来、現在では各地に野生化している。茎葉を飼料とするために栽培する。一般に秋に播種(はしゅ)し、翌春2~4回刈り取る。早生(わせ)から晩生(おくて)まで多くの品種があり、最近では大形の四倍体品種の栽培が増えている。
草地を造成する場合、初年度の生産を確保するために、オーチャードグラス(カモガヤ)などの多年生牧草と混ぜて播(ま)く。西日本では水田の裏作とされる。近縁のペレニアルライグラス(ホソムギともいう)L. perenne L.は多年生で、牧草とされる。これとイタリアンライグラスとの中間型も多い。
[星川清親 2019年8月20日]
牧草として利用するイネ科の一~二年草。ネズミムギともいう。ドクムギ属Loliumを一般にライグラスryegrassと呼び,この種はイタリアで栽培が始まったところからこの名がついた。原産地は地中海沿岸で,現在では世界中の温帯で栽培がみられ,また野生化もしている。日本へは明治初期に渡来した。草高は40~80cmほどで叢生(そうせい)する。若い葉は円錐状に巻いて現れ,初夏に小穂が2列に並んだ平たい穂を出す。早生から晩生まで多くの品種があり,最近では大型の四倍体品種が増えている。一般には,畑や水田に秋にたねをまき,翌春から夏までに2~4回刈り取り,飼料とする。クローバー類と混播(こんぱん)したり,草地を造成する場合,初年度の生産を得るために多年草と混播する。また芝生に播種し,冬緑の芝生を造成するのにも利用される。近縁種には多年生のペレニアルライグラスL.perenne L.(英名はperennial ryegrass,和名はホソムギ)があり,これも牧草として利用される。
執筆者:星川 清親
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…【小山 鉄夫】。。…
… ドクムギ属Loliumの植物は英名をrye grassといい,牧草になるものが多い。小穂に芒(のぎ)のあるネズミムギL.multiflorum Lam.(別名イタリアンライグラスItalian rye‐grass)やホソムギL.perenne L.(別名ペレニアルライグラスperennial rye‐grass)はともにヨーロッパ産でそれぞれ牧草,芝生用に輸入されたが逸出して帰化植物となった。【小山 鉄夫】。…
※「イタリアンライグラス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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