イナリ湖(読み)イナリコ(英語表記)Inari

デジタル大辞泉 「イナリ湖」の意味・読み・例文・類語

イナリ‐こ【イナリ湖】

Inarijärv》フィンランド北部にある湖。ラップランド地方北部、北極圏内に位置し、同国で3番目に大きい。東岸のパーツヨキ川から流出し、ノルウェーロシアを通ってバレンツ海に注ぐ。古くからサケマスなどの漁業が盛ん。主な町は西岸イナリ

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改訂新版 世界大百科事典 「イナリ湖」の意味・わかりやすい解説

イナリ[湖]
Inarijärvi

フィンランド北部,ロシアとの国境近くにある湖。面積1386km2。約3000の島や岩礁がある。北東から南西にかけて長く,長さ約80km,幅約40km。湖面標高118m,最深部95m。11月初旬から6月初旬まで氷結する。湖水はパーツ川となり,ロシア領を通って北極海に下る。イナリ地方にフィンランド人が住みついたのは18世紀中葉からで,それまではラップ人の居住地であった。古来,漁業が盛んで,湖中のウコンサーリUkonsaari島は,ラップ人が生贄を捧げる聖なる場所だった。イナリ地方は,過去数百年間,北極海とボスニア湾を結ぶ交易路の中心で,行商人がラップランドの奥地にまで足を運んだ。第2次世界大戦後,ソ連に割譲されたペッサモ(現,ペチェンガ)から,約400人のラップ人がこの地方に移り住んだが,彼らも含めてイナリ湖周辺のラップ人は,1336人(1962)を数える。湖岸のイナリ村には,ラップ文化保存のため,ラップ博物館が1963年につくられた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イナリ湖」の意味・わかりやすい解説

イナリ湖
イナリこ
Inari

フィンランド北部,ラッピ県にある湖。ロシアとの国境に近く,湖面標高 118m,長さ約 80km,幅約 40km,面積 1000km2最大水深 95m。湖には 3000以上の小島と岩礁があり,森に囲まれ,岸辺には多くの入江がある。南からイバロ川が注いでいるが,イナリ湖の水は東側からパーツ川によって北極海へ流れ出ている。湖面は 12月中旬から6月中旬まで結氷。サケ,マスが釣れるので観光客も多い。西の湖岸にイナリの村があり,ノルウェーへ通じる道がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「イナリ湖」の意味・わかりやすい解説

イナリ湖
いなりこ
Inarijärvi

フィンランド北部、ラップランドの湖。面積約1000平方キロメートルで、北極海斜面に入る。周囲の針葉樹林はサーミ(ラップ)人の生活領域で、トナカイ飼育が盛んに行われるが、豊富なサケ・マス類が内水面漁業を支えており、観光客による釣りや狩猟との調和が問題となりつつある。

[塚田秀雄]

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