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インスリン非依存型糖尿病 インスリンひいぞんがたとうにょうびょうnon insulin-dependent diabetes mellitus

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

インスリン非依存型糖尿病
インスリンひいぞんがたとうにょうびょう
non insulin-dependent diabetes mellitus

II型糖尿病。成人に多く,糖尿病の 93~95%はこのタイプで,最近では,青少年期に II型糖尿病を起こす人が増えてきた。糖尿病になりやすい体質を遺伝的に持っている人に,肥満,過食,運動不足などが重なって発症する。原因としては食事による血糖の上昇が起こるとき,インスリンを分泌するスピードが遅れたり,不十分であったりすること,あるいは,インスリンの力でブドウ糖を利用する筋肉,脂肪組織,肝臓などで,インスリンを受け取る役割を果たす受容体の働きが悪くなっていることなどが考えられる。

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家庭医学館の解説

いんすりんひいぞんがたとうにょうびょう【インスリン非依存型糖尿病 Non-insulin-dependent Diabetes Mellitus (NIDDM)】

[どんな病気か]
 インスリン非依存型糖尿病は、インスリンの効き目が落ちている状態で、インスリンが完全に欠乏しているわけではありません。食事をして血糖(けっとう)が上昇しているのに、インスリンが適切に分泌(ぶんぴつ)されない、インスリンの作用に抵抗する機構が細胞の中ではたらいているなど、さまざまな原因が考えられています。2型糖尿病に含まれます。
 おとなにおこる糖尿病のほとんどはこのインスリン非依存型糖尿病で、たんに糖尿病といった場合は、この糖尿病のことをさします(この項でも、以後、インスリン非依存型糖尿病のことをたんに「糖尿病」と表記します)。
 かつては、子どもには少ないと考えられていましたが、学校健診で尿糖検査(にょうとうけんさ)が行なわれるようになって、この糖尿病の子どもが多く見つかるようになりました。尿糖検査を受けた子ども10万人あたり5~6人の割合で、この糖尿病の子どもが見つかっています。
 日本の子どもの糖尿病は、女子は低年齢で発症し、男子は中等度以上の肥満(ひまん)が関係して発症する傾向があります。
 この糖尿病と肥満との間には、明らかな因果関係があります。日本人の栄養摂取量の増加につれて、子どもの肥満が増え、それにつれて子どもの糖尿病の発生頻度も増加しています。
 また、この糖尿病は、発症しやすい遺伝的な体質がかかわっておこることが多く、肥満は、発症をうながす因子の1つになります。
 ミトコンドリア(エネルギーを発生させる細胞中の小器官)やグルコキナーゼ(ぶどう糖の代謝(たいしゃ)を仲立ちする酵素(こうそ))などの遺伝子の変異でおこる単一遺伝子病(たんいついでんしびょう)の糖尿病もありますが、ごく一部で、大部分は糖尿病になりやすい多くの遺伝的な要素が関係しておこる多遺伝子病(たいでんしびょう)だといわれています。
[症状]
 たいていは、肥満以外は症状がみられません。
 学校健診や医療機関での尿検査で尿糖が陽性に出て、糖尿病の症状(口渇(こうかつ)、多飲、多尿など)が現われる以前に発見されるケースがほとんどです。このため、自分が病気だという認識をもつ子どもが少なく、治療をむずかしくする原因の1つとなっています。
 インスリン依存型糖尿病ほど多くはありませんが、この糖尿病でも、ストレスなどがきっかけとなって、糖尿病性ケトアシドーシス(インスリン依存型糖尿病の「症状」)になることがあります。発見時に、口渇、多飲などの症状がみられることもあります。
 年長児の場合、大量の清涼甘味飲料(せいりょうかんみいんりょう)を飲んだ後、急に高血糖がおこり、血液中の浸透圧が高くなり、脱水症状や意識障害をおこして発見されることもあります。このような糖尿病性ケトアシドーシスをペットボトルケトアシドーシスまたはペットボトル症候群と呼んでいます。
[検査と診断]
 経口(けいこう)ぶどう糖負荷試験(とうふかしけん)を行なって、血糖やインスリンの反応を調べます。
 この糖尿病では、ぶどう糖負荷に対するインスリンの反応に遅れがみられ、血糖の下がり方が鈍くなっています。
 また、これまでの高血糖の持続状態を調べる目的で、グリコヘモグロビン(HbA1HbA1c)の測定も同時に行ないます。
[治療]
 食事療法、運動療法、血糖降下薬などを使用する薬物療法(コラム「インスリン非依存型糖尿病の薬物療法」)が行なわれます。インスリン療法(インスリン依存型糖尿病の「治療」のインスリン療法)が必要になることもあります。
●食事療法
 肥満していれば、摂取カロリーを、同年齢の子どものエネルギー必要量の10%減から始め、体重や血糖値の変化をみながら制限を強めていきます。
 糖質や脂質の多い食習慣をもっている子どもが多いので、まず、食事記録をつけ、主治医や栄養士の指導のもとに食事内容の偏りを改めます。
 学校給食は、お代わりしないように指導します。
 肥満していない場合も、バランスのよい食事が基本です。適切な食事と運動で高血糖や肥満度が改善されても、気の緩みから、すぐに元にもどってしまうことが多いようです。根気よく食事の指導を受け、講習会などに参加して、糖尿病に対する認識を深めさせるようにしましょう。肥満の著しい子どもを入院させ、240~480kcalの超低カロリー食で治療する医療機関もあります。
●運動療法
 運動を行なうと、血糖値が低下し、インスリンの効きがよくなるとともに、高脂血症(こうしけっしょう)や高血圧が改善され、肥満の解消にも役立ちます。からだの動きもスムーズになります。
 食事療法と運動療法で治療できる場合は、低血糖をおこす心配はありませんから、十分に運動をすることができます。主治医と相談し、摂取エネルギーの10%程度を消費する運動を毎日、行なうようにします。
 肥満が改善し、血糖値がよくなり、食事制限が緩やかになっても運動は続け、再び肥満しないようにします。
 肥満している子どもは、運動嫌いが少なくありません。楽しく長続きできる運動メニューを工夫しましょう。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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