インターンシップ(読み)いんたーんしっぷ(英語表記)internship

翻訳|internship

精選版 日本国語大辞典 「インターンシップ」の意味・読み・例文・類語

インターンシップ

〘名〙 (internship) 会社などでの体験就業。就職活動に取り入れる企業が増えている。

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デジタル大辞泉 「インターンシップ」の意味・読み・例文・類語

インターンシップ(internship)

会社などでの実習訓練期間。学生が在学中に自分の専攻に関連する企業に体験入社する制度。体験就業。インターン。→コーオプ教育

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大学事典 「インターンシップ」の解説

インターンシップ

[インターンシップとは]

日本においてインターンシップは,後述するいわゆる三省合意において「学生が在学中に自らの専攻,将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと」と定義されている。インターンシップという言葉が政府の文書に最初に登場したのは「教育立国を目指して」(1997年1月)の中であり,インターンシップの総合的な推進が盛り込まれ,さらに「経済構造の変革と創造のための行動計画」(1997年5月閣議決定)では,産学連携による人材育成策としてその推進が盛り込まれた。これらを受け,当時の文部省通商産業省労働省においてインターンシップのより一層の推進を図るため,インターンシップに関する共通した基本的認識や推進方策を取りまとめた「インターンシップの推進に当たっての基本的な考え方(日本)」(1997年9月,以下「三省合意」という)を発表し,政府,大学,産業界においては,この三省合意に沿ってインターンシップの普及・推進を図ってきた。

 しかしながら,従来,教育実習,医療実習,看護実習など特定の資格取得を目的として実施しているものや,資格取得と関連性はないが,専門をより深めるための工場実習などは大学において実施されてきた。たとえば教育実習については,1873年(明治6)東京師範学校において実施されており,第2次世界大戦後は1949年(昭和24)教育職員免許法および同施行規則において義務付けられている。工場実習についても,戦前から盛んに行われていた。アメリカ合衆国においては,大学が主導で管理運営するものをコーオプ教育(アメリカ)(cooperative education),企業等が主導で管理運営するものをインターンシップといい,両者を区別することが一般的であるが,日本では両者をともにインターンシップと称している場合が多い。

[インターンシップの現状]

文部科学省では,1997年(平成9)より「インターンシップ実施状況調査」をすべての大学および高等専門学校を対象に実施してきた。さらに2011年度からはこれを拡充して調査を実施している(2013年6月公表)。最新の2015年度の結果によると,単位認定を行う授業科目か否かは問わずインターンシップを実施している大学は93.4%となっている(特定の資格取得に関連するもの,関連しないものの両者を含めた実施割合)。また,単位認定を行う授業科目として実施されるインターンシップに参加している学生の割合は22.2%で,そのうち特定の資格取得に関連しないものは3.1%,特定の資格取得に関連するものは19.1%となっている。つまり,ほとんどの大学で何らかのインターンシップを実施しているものの,参加学生はその一部にとどまっている。さらに実施期間をみると,特定の資格取得に関連しないものでは,1~2週間未満が38.2%となっており,1週間未満の37.3%と合わせると約4分の3が2週間未満である。海外のインターンシップやコーオプ教育では数ヵ月が一般的であるのに対し,極端に短期間であることが日本の特徴といえよう。

[インターンシップの課題]

今後の拡充に向けてさまざまな課題が指摘されている。第1は量的な課題である。参加学生の割合はまだ少なく,その拡大が求められている。そのためには,受入れ先である企業等の確保や学生の希望業種・職種と受入れ企業のミスマッチの軽減が必要である。第2は質的な課題である。上述したように,日本の学生のインターンシップは短期が中心といえる。また,その内容・目的も職業意識・就労観の醸成が中心であり,専門教育との関連性が希薄であることが指摘されている。上記の量的および質的な課題に対応するためには,受入れ企業の開拓やプログラムの構築が不可欠であるが,これらを担う専門的な知見を有する人材の不足が第3の課題である。

 第4の課題は就職との関連で,三省合意では「インターンシップと称して就職・採用活動そのものが行われることにより,インターンシップ全体に対する信頼性を失わせるようなことがない」ようにと記述されており,インターンシップと就職を関連付けることはいわばタブー視されているが,現実的には結果としてインターンシップ先に就職しているケースもある。インターンシップ実施における企業側のメリットを鑑みると,インターンシップと就職の関係についても検討が必要であろう。第5の課題は,インターンシップの効果についてである。インターンシップの参加者数は徐々に拡大を示しているが,その効果についての計測,研究が不十分である。インターンシップが推進されるようになってからまだ20年程度であり,その継続的な効果の把握が今後も求められる。
著者: 亀野淳

参考文献: 高良和武監修,石田宏之・太田和男・古閑博美・田中宣秀編著『インターンシップとキャリア―産学連携教育の実証的研究』学文社,2007.

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「インターンシップ」の意味・わかりやすい解説

インターンシップ
いんたーんしっぷ
internship

学業についている者が企業や官公庁などで一定期間、就業体験をすること。実際の仕事につくことで、自らの専攻や将来の職業選択に生かすねらいがある。職場見学から、業務体験、企画立案まで、その内容は幅広い。通常、教育実習や医療実習などはインターンシップに含まれない。文部科学省の調査では、2019年度(令和1)にインターンシップを実施した大学・短期大学・高等専門学校は全体の88%に達し、体験学生数は79万人を超えている。おもに大学生、短大生、高等専門学校生を対象とするが、高校生にも広がっている。就業期間は夏休みなどの1週間~1か月が主流だが、半年を超すものもある。有給と無給の両方があり、インターンシップ参加を単位として認定する大学が実施大学の7割に達している。

 20世紀初頭にアメリカの大学で始まった仕組みで、自分が専攻する学問が社会でどのように生かされているかを職場で確かめ、学問に生かす試みであった。日本でもインターンシップの普及を後押しするため、政府は1997年(平成9)に基本ルール「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」を定め、一貫して「インターンは採用活動ではない」との姿勢を崩していない。ただ近年、単なる単位取得や就職に有利との理由でインターンシップを利用する学生が増え、採用側でも採用活動解禁前にいち早く学生との接点をつくり、優秀な人材を青田買いするねらいで活用する企業が増えている。また、日本経済団体連合会経団連)と国公私立大学トップによる直接対話のために立ち上げられた「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」は、2022年4月に発表した報告書で、インターンシップについての新たな定義を定めるとともに、インターンシップで得られた学生情報を採用活動開始後に活用可能とすることで産学が合意に至ったとして、基本ルールの見直しを求めた。これを受けて政府は2022年、条件付きで参加学生の情報を企業が採用の判断材料として活用することを容認した。2022年度の大学2年生からが対象で、インターンシップの(1)実施期間は一般に5日間以上、専門能力重視の場合には2週間以上、(2)実施時期は夏休みなどの長期休暇期間中、(3)実施期間の半分超の日数を職場での就業体験にあてる(テレワークを含む)、(4)終了後、学生の評価などを本人にフィードバックする、(5)募集要項などで公表する、などの条件を満たす必要がある。ルール改正により、インターンシップで評価の高かった学生に優先的に募集案内を出したり、1次・2次試験を省略して役員面接のみで採用したりといった企業が増えそうで、労働界などから「青田買いを助長しかねない」などの批判が出ている。

[矢野 武 2022年11月17日]

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就活用語集(就活大百科 キーワード1000) 「インターンシップ」の解説

インターンシップ

大学在学中に実際の企業で就業体験ができる制度。主に大学2、3年生を対象に、夏休みや春休みを利用して行われることが多くなっています。募集は「大学を通して行われるもの」「インターネットを通して公開で行われるもの」などさまざま。マイナビでは「マイナビインターンシップ」で実施要項の案内や応募受付をしていますので、興味のある方はこまめにチェックしてみてください。インターンシップのメリットは数多くあります。学生にとっては会社で実際に働くことによって、仕事のイメージを明確にすることができ、自分の適性や将来の進路を決めたり、仕事への適応力を身につける貴重な体験になります。また、企業にとっても事前に職場を知ってもらうことで、採用後のミスマッチを防いだり、大学との連携を深めることができるなどの利点があります。なおインターンシップはアルバイトや試験採用とは違いますが、優秀な学生は当然企業の目にもとまるので、採用につながることがあります。また、採用活動の一環としてインターンシップを行っている企業もあります。

出典 マイナビ2012 -学生向け就職情報サイト-就活用語集(就活大百科 キーワード1000)について 情報

知恵蔵 「インターンシップ」の解説

インターンシップ

インターンは一般的には、一定の区域内に閉じ込めること、あるいは医学研修生を意味し、インターンシップは、企業などにおける見習いまたは研修を意味する。日本では近年、大学生や高校生が在学中に自らの学習内容や将来の進路などに関連した就業体験を行うこともインターンシップと呼ぶ。高校、特に専門高校では、これまでも各科目の実習の一部として取り組まれてきたが、理科教育及び産業教育審議会(当時)は1998年7月の答申で、これをさらに幅広く推進することを提言。文部科学省はこれを踏まえて、普通科、総合学科でもできる限り多くの生徒がインターンシップを体験するための施策を進めている。2003年4月から実施された新高等学校学習指導要領でも、就業体験の機会の確保について配慮することとしている。

(新井郁男 上越教育大学名誉教授 / 2007年)

インターンシップ

大学生などが自らの専攻、将来のキャリア・プランに関連して、在学中に一定期間、企業その他で就業体験を積むための実習制度。欧米では、かなりの実績を持つ。実際の職場経験をすることで、職業意識を深め自らの適性を知ることにも役立つと考えられ、学校から就労段階への円滑な移行にも寄与するとして日本でも急速に関心が高まっている。(1)正規の教育課程として位置づけ、単位を取得できる授業科目としているもの、(2)授業科目ではないが、大学などの活動と位置づけているもの、(3)大学とは無関係に企業が実施するインターンに学生が参加するもの、という3つのパターンがある。

(桑原靖夫 獨協大学名誉教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

人材マネジメント用語集 「インターンシップ」の解説

インターンシップ

・internship
・学生が自己の適正を把握する、あるいは仕事の内容を理解するために、在学中に一定期間に企業内で就業体験を行うこと。
・学生側としては、適正の把握や仕事内容の理解だけでなく、今後のキャリア形成について考える機会ともなり得る。更に就職活動を行う前に就業体験をすることで、就職活動時における企業選定の判断軸・基準軸を形成することもできると言える。
・企業側としては、「企業及び業界のPR効果」「学生に対する実態の理解促進」「学生の就職意欲の向上」「職場の活性化」「優秀な人材の発掘」「学校とのコミュニケーションの一環」等が代表的な導入理由及び利点であると言え、その取り組みが拡大している。

出典 (株)アクティブアンドカンパニー人材マネジメント用語集について 情報

ASCII.jpデジタル用語辞典 「インターンシップ」の解説

インターンシップ

学生に就業体験の機会を提供する制度。実際に企業に赴かせ、一定期間、職場体験をさせる。職業選択、適性の見極めが目的のために無報酬のケースが多く、その点では報酬を受け取るアルバイトとは異にする。すでに欧米では、大学生の大半がインターンシップ制度を利用しており、日本でも医師の養成や技術系の工場実習などで実績を持ち、最近では文科系の学生にも広まりつつある。企業側も、優秀な人材確保や、適性判断につながるとして、インターンシップ制度を導入するケースが目立っている。もっとも、学生の青田買いにつながるとの懸念から、学生の権利保護など課題も残る。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「インターンシップ」の意味・わかりやすい解説

インターンシップ
internship

おもに医科大学あるいは大学の医学部を卒業した者が,医師としての必要な診療経験を積むために研修医(インターン)として病院に勤務すること,あるいはその研修期間,研修システム。今日では医学の分野にかぎらず,さまざまな職業において一人前になるまでの見習いの地位,あるいはその期間をさすこともある。日本では,大学生などが本格的な就職活動を始める前に一定期間企業で就業体験をする制度をさし,1997年に政府が産学連携による人材育成を目的として導入の推進を始めた。

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人事労務用語辞典 「インターンシップ」の解説

インターンシップ

インターンシップとは、学生が一定期間、企業で就業経験を積む制度のことです。文部科学省・厚生労働省・経済産業省の「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」では、『学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと』と定義されています。就職活動が本格化する前に職場の雰囲気や実務への理解を深めることで、就業意欲を高めるとともに、入社後のミスマッチを防ぐ効果が期待されています。

出典 『日本の人事部』人事労務用語辞典について 情報

産学連携キーワード辞典 「インターンシップ」の解説

インターンシップ

「インターンシップ」とは、学生が在学中に自らの専攻、もしくは将来のキャリアに関連した就業体験を行う制度のことを指す。国際性、独創性、高い専門性を持った人材を育成するための手段として、また、産学連携における人の交流の1つの手段として、「インターンシップ」の普及が国によって推進されている。企業においては、就職活動の一環として、もしくは学生に対する自社のPR活動の1つとして利用されている。

出典 (株)アヴィス産学連携キーワード辞典について 情報

とっさの日本語便利帳 「インターンシップ」の解説

インターンシップ

実務研修。学生の専攻分野に関連した仕事を短期間行うこと。これを単位として認める大学や、必須科目としているプログラムもある。報酬の出るものもあり、夏休みなどの長期休暇の間に行う学生も多い。

出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報

百科事典マイペディア 「インターンシップ」の意味・わかりやすい解説

インターンシップ

インターン

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世界大百科事典(旧版)内のインターンシップの言及

【インターン】より

…ある職業について,その資格を最終的に取得するのに先だって実地訓練を課することがある。そうした制度をインターンシップinternshipといい,その研修生をインターンと呼ぶ。一般には医師の場合を指して用いられることが多いが,同様の制度は美容師,理容師の場合にも見られる。…

※「インターンシップ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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