教職志望の学生が、在学中に、教育の現場において教育活動を実際に経験すること。その目的は、
(1)講義や書物で学んだ教育理論を実際に適用する
(2)教育活動全般について理解を深めて教育の本質を体得する
(3)自己の教職適性を検証する
(4)新たに教育理論を学ぶ意欲を刺激する
などである。広義の教育実習は、「授業実習」(教壇実習)のほかに、自己の目で教育活動の実際を確かめる「観察」、および教師の補助的活動をする「参加」を含む。
教育実習は、おおむね大学の3、4年次に、国立の教育大学・学部の場合は附属の幼稚園、小学校、中学校、養護学校を中心として(一部は公立学校で)行われる。附属学校をもたない一般の大学・学部では公・私立学校等で行われているが、できるだけ早い学年から教育の実際に触れさせるくふうをしている。実習の実際の指導は実習校の教員によって行われ、大学・学部側からは担当の教員が実習の始めと終わりや実習生の研究授業のときなど、随時出向くことが一般的である。
教育実習は、このような臨床的な学習として教員養成において重視されてきたが、教員の専門的な能力として実践的指導力が強調されるに伴い、さらに改善が重ねられた。1998年(平成10)、それまで2週間とされていた中学校の教育実習期間が、小学校と同様に4週間に延長された。また、実習の事前・事後指導があわせて1単位必修となっている。さらに、1997年「介護等体験特例法」が制定され、小・中学校の教員免許状取得には、社会福祉施設等での1週間の介護体験が必修となった。障害者・高齢者と接し、介護することによって、人間の価値や生き方などを直接学ぶことになり、児童・生徒指導の面での力量を育てることができるが、一方、体験を実施する社会福祉施設の確保、体験のための事前・事後指導が課題となっている。とくに一般大学においては、教育実習期間の延長や介護体験実習の導入は大きな問題である。しかし、小・中・高等学校において体験学習が重視されている今日、教員養成においても体験実習の充実が求められる。
[津布楽喜代治]
『中沢次郎他編『現代教育実習の基礎』(1982・学術図書出版社)』▽『教育技術研究会編『教育実習ハンドブック』(1993・ぎょうせい)』▽『片山清一著『要説・教育実習――教職実務への準備』(1996・高陵社書店)』▽『現代教師養成研究会編『教師をめざす人の介護等体験ハンドブック』(1999・大修館書店)』▽『教師養成研究会編『教育実習の研究』(2000・学芸図書)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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