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インドシナ半島 インドシナはんとうIndochina Peninsula

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

インドシナ半島
インドシナはんとう
Indochina Peninsula

インドと中国の間にあり,インド洋南シナ海を分ける半島。一般には東はベトナムから西はミャンマーまでの地域をさし,この2国のほかラオスカンボジア,タイ,マレーシア半島部,シンガポールが含まれ,東南アジアの大陸部とほぼ一致する。単にインドシナという場合は,旧フランス植民地であったベトナム,カンボジア,ラオスの3国をいう。この半島にはインドシナ山脈系のアンナン山脈 (ベトナムとラオス,カンボジアの国境) ,シエンクワン高原 (ラオス) ,ボロベン高原 (ラオス) ,クラバン山脈 (カンボジア) ,コラート高原 (タイ) ,シャン高原 (ミャンマー) ,ラカイン山地 (ミャンマー) などが扇状に展開しており,地形は複雑で変化に富む。南部のマレー半島シンガポール島熱帯雨林気候区,それを除く大半は雨季と乾季が交互に現れる熱帯季節風気候区に属する。いずれの地域も高温多雨のためイネの生育に適し,ホン川 (紅河) ,メコン川チャオプラヤー川タンルウィン川エイヤーワディ川などの大河が形成するデルタを中心に米作が盛んである。住民はベトナム人クメール族,タイ人,マレー人ビルマ人などのほか,山地には 40~50に及ぶ少数民族がいる。バンコク,シンガポール,ホーチミン市などの大都市には中国系住民も多い。

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大辞林 第三版の解説

インドシナはんとう【インドシナ半島】

アジア南東部の大半島。半島南部のクラ地峡からさらにマレー半島がのび、インド洋と南シナ海とを分ける。ベトナム・カンボジア・ラオス・タイ・ミャンマーの諸国がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

インドシナ半島
いんどしなはんとう
Indochinese Peninsula

アジア大陸の南東部、インドと中国の間を南へ突出する半島。ミャンマー(ビルマ)、タイ、マレーシア、シンガポール、カンボジア、ラオス、ベトナムの諸国で構成される。狭義では、ベトナム、カンボジア、タイ、ラオスの範囲をさす。[大矢雅彦]

地形

インドシナ半島の骨格をなす山脈は扇形に北から南へ広がるのが特色で、西よりアラカン山脈、ペグー山脈、ダウナ山脈からマレー半島へ続く山脈、ドンパヤジェン山脈、エレファント山脈、アンナン山脈(チョソン山脈)などである。このうちアラカン山脈から北へ続く山脈はヒマラヤ造山帯に属し、高度も3000メートルを超える高い山がある。他の山脈は造陸帯にあり高度は比較的低い。アンナン山脈は地塁山地である。
 半島の大部分が造陸帯であるため、河川は大きく勾配(こうばい)も緩やかである。山脈の方向に従って河川も北より南へ流下する。イラワディ川はアラカン山脈とペグー山脈の間を、サルウィン川はペグー山脈とダウナ山脈の間を、チャオプラヤー川はダウナ山脈とドンパヤエン山脈の間を、メコン川とソン・コイ川はウーリャンシャンとアンナン山脈に沿って流下する。イラワディ川沿岸にはマンダレー、チャオプラヤー川沿岸にはチエンマイ、ランパン、メコン川沿岸にはルアンプラバン、ビエンチャンなどの盆地がある。これらの盆地は気候もよく古くから開け、灌漑(かんがい)施設も発達していた。各河川の下流は大平野が開けている。すなわちイラワディ川にはイラワディ平野、チャオプラヤー川にはチャオプラヤー平原(タイ中央平原)、メコン川下流にはメコン平野、ソン・コイ川下流にはソン・コイ平野が開ける。造陸帯の平野であるので面積が広く勾配が緩やかである。これらの平野は米作地である。ソン・コイ平野の開発の歴史は古いが、チャオプラヤー平原とイラワディ平野は開発の歴史は新しく、ほんの百数十年にすぎない。現在では各国のもっとも重要な地域で、ヤンゴン(ラングーン)、バンコク、ハノイ、プノンペンなどの首都およびホー・チ・ミンなどの大都市が位置する。平野から続く海も、造陸帯の地域が多いので一般に浅く、スンダ陸棚とよばれる。[大矢雅彦]

気候

インドシナ半島の気候は、一年中高温で月による温度差の少ないこと、モンスーンのため、雨量は赤道付近を除いて月降水量の差が大きい点に特色がある。気温についてみると、最暖月と最寒月の差はシンガポールで1.9℃、バンコクで4.8℃、ビエンチャンで7.4℃にすぎない。北端に近いハノイで13.3℃とやや大きくなるが、東京が23℃であることと比較すると、小さいことがわかる。
 最大降水量の月と最小降水量の月を比較するとその差が少ないのはシンガポール、クアラ・ルンプールで200ミリメートル以下である。ところがヤンゴンでは500~600ミリメートルに達し、東京が150ミリメートルであるのに比べて大きいことがわかる。雨期と乾期が明瞭(めいりょう)に区分されているバンコクでは、5~10月の雨期に年降水量の84%が降ってしまう。一方、12月および1月は雨は皆無に近く毎日晴天でしかも涼しく、1年でもっとも気候のよい時期である。しかし、マレー半島のクアラ・ルンプールやその南部では雨期と乾期の差は少ない。年降水量はかなり地域差があり、バンコクで約1500ミリメートル、ヤンゴン、クアラ・ルンプールが約2500ミリメートル、シンガポールが約2300ミリメートル、ホー・チ・ミンが約1800ミリメートル、ハノイが約1700ミリメートルで一般的に西部ほど多い。
 この地域の降雨は成因的にみて、地形性降雨、熱帯内収束帯に沿う降雨、対流性局地性降雨に分けられる。モンスーン地域にあるため、冬すなわち乾期は東または北東の風が卓越し、夏すなわち雨期は南西風が卓越する。ところが山系が主として南北方向に走るため、風向きと斜交し、風上側は多雨地域、風下側は少雨地域となる。テナセリム山脈、エレファント山脈は夏の南西モンスーンを遮るため、山脈の南西側は多雨地帯となり、年降水量4000ミリメートルを超える所がある。またアンナン山脈の東側は北東モンスーンの吹く10月に多雨となり始め、11月には700ミリメートルを超える所もある。一方、山地と山地の間の低地は夏も冬も風下に置かれるため、少雨地域となっている。マンダレー盆地、チャオプラヤー平原、コラート高原、大湖周辺低地は降水量が少なく、とくにコラート高原では年間800ミリメートル程度の地域がある。熱帯内収束帯が7~10月にかけてカマウ岬およびマレー半島北部付近にあるため、この地域で降雨が多い。このほか、まれにフィリピン方面より台風が来襲、インドシナ半島北部へ侵入して降雨をもたらすことがある。1966年のメコン川の大洪水も、台風フィリスと北熱帯内収束帯の結合でもたらされた降雨が原因であった。
 ケッペンの気候区分でインドシナ半島をみると、北緯8度付近までの熱帯雨林気候地域、それより北にある乾期と雨期が明瞭に区分されている熱帯季節風気候地域、イラワディ・デルタのように雨量が多くてこれが地中に蓄えられ、乾期でも植物が生育できる中間的気候地域がある。季節風気候地域では乾期に植物は乾眠し、葉はしだいに紅(茶)葉し、やがて落葉してしまう。このほか北の中国に近い地方や山地には、最湿月に冬の最乾月の少なくとも10倍の降水量がある温暖降雨気候地域がある。アンナン山脈、アラカン山脈などにはトラ、ゾウ、野生スイギュウなどが生息する。ミャンマー、マレーシアの海岸にはマングローブ、ニッパヤシなどの森林がある。[大矢雅彦]
『大矢雅彦著『河川の開発と平野』(1979・大明堂)』

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