翻訳|indomethacin
薬理作用として解熱・鎮痛・抗炎症作用をもち,アスピリンとならんで最も代表的な非ステロイド抗炎症薬。関節リウマチなど,痛みを伴うさまざまの炎症性疾患の症状を抑えるための対症療法薬として使用される。きわめて強力ではあるが副作用もまた強いために警戒しながら使用されているステロイド抗炎症薬の欠点を改良することを狙って,アメリカのシェンT.Y.ShenとウィンターC.A.Winterが1963年につくりあげた薬物で,その後数多くつくられてきた非ステロイド抗炎症薬のさきがけをなしたというだけでなく,それらのなかでも最も強力な部類に属し広く使われている。本質的な作用メカニズムはアスピリンと同じで,局所ホルモンとして知られるプロスタグランジン類の生合成の基本的な酵素であるシクロオキシゲナーゼの働きを抑えるためである。副作用として胃腸障害をおこしやすい点もアスピリンに似ている。
執筆者:鶴藤 丞
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
1-(p-chloro-benzoyl)-5-methoxy-2-methylindole-3-acetic acid.C19H16ClNO4(357.79).ρ-メトキシフェニルヒドラジンとアセトアルデヒドとの反応物をρ-クロロベンゾイルクロリドでアシル化し,加水分解後,レブリン酸と加熱閉環すると得られる.白色~淡黄色の微細な結晶.融点155 ℃ と162 ℃ の2形がある.エタノール,エーテル,アセトンに可溶,水に不溶.光によって黄褐色に着色する.シクロオキシゲナーゼを阻害することによりプロスタグランジンの生合成を抑制する.pKa 4.5.効力が強く,低毒性の消炎,鎮痛薬.関節リウマチ,痛風発作など炎症性疾患に用いる.LD50 50 mg/kg(マウス,経口).[CAS 53-86-1]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…このような作用をもつプロスタグランジンの生合成を抑制すれば,炎症痛を和らげることができる。アスピリンのほか,この系統に属する薬物としては,インドメタシン,イブプロフェンなど多数が実用化されている。アスピリン様薬物は,炎症痛を抑えるという意味のほかに,炎症性の浮腫を抑えるという意味から抗炎症薬の定義に適合する薬物である。…
※「インドメタシン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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