変形性関節症(読み)へんけいせいかんせつしょう(英語表記)osteoarthritis; OA

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

変形性関節症
へんけいせいかんせつしょう
osteoarthritis; OA

40歳から年齢とともに増加し,65歳以上になるとほとんどの人にみられる病気。使用頻度が高く,なかでも膝 (しつ) 関節,股 (こ) 関節など体重を支える負担の大きい関節が侵されやすい。主として関節の老化現象に起因しており,まず軟骨は白色から黄色調となり,水分が減り,弾力性が低下,関節の運動の際に摩擦が大きくなり,次第に磨滅が始る。また手指関節,特に遠位指節間関節や母指中手骨関節も好発部位で,この型は女性に多く,遺伝性が強い。変形性関節症は脊椎も侵しやすく,可動域制限を伴うのが特徴である。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

変形性関節症

関節の軟骨がすり減ったり、関節の周囲に骨のトゲが生じたりして、痛みや変形を引き起こす病気。股関節や手足・背骨の関節でも起こる。加齢や肥満、力仕事などで関節に負担がかかることが原因とみられる。軽症なら、筋肉を鍛える運動療法や消炎剤などで痛みを和らげることができる。症状が進むと人工関節手術が必要になることもあり、2008年度に手術を受けたのはひざと股関節で推定約10万人。

(2010-07-08 朝日新聞 夕刊 1総合)

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百科事典マイペディアの解説

変形性関節症【へんけいせいかんせつしょう】

関節に退行変性が生じた状態。先天性の形成不全,過去の疾病や外傷,過激なスポーツや重度の肉体労働などによる二次的変性,老化による摩耗(まもう)変性などがある。一般に体重がかかる下肢の関節に起こりやすい。股関節では,先天性股関節脱臼の治療を受けた場合に多い。膝関節では,老化による摩耗変性が大半を占め,とくに脂肪過多症と合併して起こる。治療は痛みを抑える薬剤の関節内直接注射や,手術療法による。
→関連項目内反膝

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家庭医学館の解説

へんけいせいかんせつしょう【変形性関節症 (Osteoarthritis)】

◎関節の内側が変形する
 変形性関節症は、関節の老化によっておこる病気です。年齢とともに、関節にある軟骨、とくに体重がかかる軟骨はすり減っていき、それと同時に、体重がかからない部分では、関節の骨が変形していきます。
 すり減った軟骨を、若い人のようなつるつるした軟骨にもどす方法はありません。したがって、この病気にかかりやすい人、たとえば膝(ひざ)ではO脚(オーきゃく)の程度がひどい人、股関節(こかんせつ)では小さいときに先天性股関節脱臼(せんてんせいこかんせつだっきゅう)の治療を受けた人、肘(ひじ)では振動工具や力仕事をする人、関節にかかわる骨折をおこして関節面にやや段差が残った人などは、年齢とともに症状が出てくる可能性があるので、注意が必要です。
 膝の関節に症状がおこった場合を変形性膝関節症(へんけいせいしつかんせつしょう)(「変形性膝関節症」)、股関節に症状がおこった場合を変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)(「変形性股関節症」)、肘の関節に症状がおこった場合を変形性肘関節症(へんけいせいちゅうかんせつしょう)(「変形性肘関節症」)といいます。
◎日常生活の注意点
 日常生活での注意としては、
①関節にむりな負担をかけない。
②関節を冷やさない。
③転ばない。
の3つがあげられます。
 ①については、適度な散歩はよいのですが、多少の痛みがあるのに、むりしてジョギングや山登りなどをするのはよくありません。痛みは関節の警報と考えたほうがよいと思います。
 同じ運動でも、体重をかけないで、関節の安定に役立つ運動があります。
 膝では、あおむけで脚(あし)を伸ばして上げ下げ運動をしたり、横をむいて脚を上げ下げすれば、股関節周囲の筋肉を鍛えることができます。
 ③については、今まで症状のなかった人でも、関節の軟骨はすでに変化がおこっていることもあり、転倒すると急に痛みが出たり関節に血がたまったりして、症状が出ることがあります。
 とくにお年寄りでは、転ばないように、つえをつくのはよいことだと考えます。関節への負担を少なくする点でもよいでしょう。
◎薬物療法と手術が治療の基本
 年齢とともに少しずつ進行していく病気ですので、一時的に消炎鎮痛薬(しょうえんちんつうやく)や注射で痛みが消失しても、日常生活の注意は続けたほうがよいでしょう。
 症状がなくても、定期的に医師にかかり、X線写真を撮ってもらうこともたいせつです。
 痛みが続く場合は、手術で痛みを軽減させることができます。
 詳しくはそれぞれの変形性関節症の項で解説しますが、症状や関節の変形の程度によって手術方法が異なります。
 手術は、これによってどんな症状がよくなり、どんな症状が残る可能性があるかなど、整形外科医に十分に相談して決定すべきです。
 また、たとえ高齢であっても、症状がある場合は、あきらめずに経験のある医師に相談してください。

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食の医学館の解説

へんけいせいかんせつしょう【変形性関節症】

《どんな病気か?》


〈老化により軟骨がすり減って骨が変形する病気〉
 老化によって、関節の軟骨がすり減り、関節が変形していく病気です。
 なかでも膝(ひざ)の軟骨がすり減る「変形性膝関節症(へんけいせいしつかんせつしょう)」は、高齢者の膝の痛みの原因でもっとも多いものです。
 初期には、いすから立ち上がるときや、歩きだすときに、痛みがあります。
 やがて、階段の昇り降りにも痛みを感じ、膝に水がたまるようになってきます。
 この病気は男性よりも女性に多くみられます。とくにO脚(オーきゃく)の人は、膝の内側に体重がかかるため、内側の軟骨がすり減りやすくなるので要注意です。
 また、膝のほかにも、肘(ひじ)の関節や股関節(こかんせつ)などに症状がでることがあります。
 過去に関節部の骨折を起こしたことがある人、子どものころに先天性股関節脱臼(だっきゅう)の治療を受けた人、力仕事などで関節を酷使している人は、加齢とともに発症する可能性が高まります。
 炎症や外傷が原因で発症することもあります。

《関連する食品》


〈コンドロイチン硫酸はネバネバ成分に含まれる〉
○栄養成分としての働きから
 関節にある軟骨が弾力性を保っているのは、コンドロイチン硫酸(りゅうさん)とコラーゲンの働きによります。
 コンドロイチンとは、ギリシャ語で軟骨の意味。納豆、ヤマノイモ、オクラ、フカヒレなど、ネバネバ、ヌルヌルしたものに含まれています。
 皮膚のみずみずしさを保つことで知られるコラーゲンは、関節では潤滑油として機能します。カルシウムが骨に定着するのを助ける働きもあり、鶏の砂肝(すなぎも)やレバー、カレイ、エビ、フカヒレに豊富です。
 コラーゲンの合成に不可欠なのが、ビタミンCや亜鉛(あえん)です。ビタミンCは、2~3時間で排泄(はいせつ)されてしまうので、ブロッコリーやキウイなどで3食きちんととります。亜鉛はカキやゴマに多く含まれています。
 ほかに、炎症を抑える作用のあるIPA(イコサペンタエン酸)や抗酸化作用のあるビタミンEが、関節痛をやわらげる効果があることも報告されています。IPAはハマチ、イワシに、ビタミンEはウナギ、カボチャに豊富に含まれています。骨をつくるカルシウムも、牛乳やイワシなどでしっかり補給しましょう。

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世界大百科事典 第2版の解説

へんけいせいかんせつしょう【変形性関節症 osteoarthrosis】

関節軟骨の老化,または変性が背景にあって,これに内分泌異常,代謝障害,肥満,外傷などの多くの因子が加わって起こる局所性の関節の病気。関節面の軟骨が破壊されて軟骨下の骨が露出した部位では,骨の硬化が起こる。しかし,その表面に繊維軟骨が現れてとげ(棘)や堤防のように新しい骨が形成される。その結果関節が変形するのであるが,これは生体の修復現象である。 原因が不明な一次性変形性関節症と,明らかに原因があって起こる二次性変形性関節症とがある。

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大辞林 第三版の解説

へんけいせいかんせつしょう【変形性関節症】

関節の主として軟骨の変性のため、運動痛や変形、運動制限をきたす疾患。股関節・脊椎などに生じやすい。多くは老化現象としてみられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

変形性関節症
へんけいせいかんせつしょう
arthrosis deformans

関節面を平滑にする関節軟骨が退行性変化をおこして弾力性を失い、露出した骨面が硬くなるとともに特有な骨新生(骨棘(こっきょく))がみられ、関節が変形して機能が悪くなる非炎症性の疾患で、老化をはじめ、関節形成異常、既往関節疾患、外傷、肥満、ホルモン異常、代謝障害などが要因となる。日常的に負荷が加わりやすい膝(しつ)関節と股(こ)関節に多くみられ、それぞれ変形性膝関節症、変形性股関節症とよばれる。発生頻度は膝関節のほうが高く、重症例は股関節に多くみられる。
 原因的に一次性と二次性に分けられる。一次性は特発性、原発性ともよばれ、原因不明で、老化の部分現象として初老期に多くみられ、40~50歳の中年以降に発症する。二次性は原因の明らかなもので、関節外傷、先天的関節形成異常、関節炎、彎曲(わんきょく)した下肢などのほか、肥満による過度荷重によって関節軟骨の損傷や障害をおこしているものにみられ、若年者にも発症することがある。
 症状は関節運動の制限と疼痛(とうつう)で、徐々に進行し、立ち居ふるまいの瞬間に痛みを感じたり、階段の昇降が苦痛になって気づくことが多く、動いているうちに痛みは軽減する。関節運動時に軋音(あつおん)を聞くことが多く、過度の使用で痛みが強くなることがある。おもに保存的治療が行われ、運動痛や関節液の貯留などの症状をなくし、進行を遅らせる。局所の安静をはじめ、理学療法として温熱療法や筋力低下を防ぐ運動療法を行い、薬物療法として消炎鎮痛剤の内服やステロイド剤の関節内注射などを行う。難治例に対する手術としては関節形成術、関節固定術、矯正骨切り術、人工関節置換術などが行われる。[永井 隆]

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