翻訳|WikiLeaks
政府や企業の関係者に内部告発を呼び掛け、提供情報を公表する民間ウェブサイト。オーストラリア出身のジュリアン・アサンジ被告らが創設した。アフガニスタンの戦闘やイラク戦争の米軍機密文書、米国家安全保障局(NSA)による内部資料を次々と公表し、世界に衝撃を与えた。2016年米大統領選の民主党候補クリントン陣営のメールも暴露、米情報機関はロシア当局が選挙介入のためサイバー攻撃で流出させたと断定している。(ロンドン共同)
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政府、民間企業、宗教など各種団体の機密情報を匿名で公開する告発サイト、および同サイトを運営する民間非営利組織(NPO)の名称。使用するコンテンツ管理システムWikiWiki(ハワイのことばで速いという意味)と、漏洩(ろうえい)を意味する「リークスleaks」を組み合わせた造語である。2006年、オーストラリア国籍の元ハッカー、アサンジJulian P. Assange(1971― )が欧米やアジアのジャーナリストらと創設した。事務所をもたず、スタッフ、ジャーナリスト、IT技術者らが運営に協力し、運営資金の大半は寄付でまかなわれているとされる。おもに内部告発者、反体制勢力などが機密情報を投稿し、高度な技術で匿名性を守る仕組みをとっている。世界中にサーバーが分散し、ある国のサイトが閉鎖されても別の国のサイト表示が可能なシステムとなっている。2010年、アメリカ政府の外交公文書やイラク戦争時のアメリカ軍による民間人殺傷動画などを暴露して世界的な注目を集めた。2016年のアメリカ大統領選挙中には、ロシア情報機関がヒラリー・クリントン陣営や民主党にサイバー攻撃をして取得した大量メールをウィキリークスに暴露し、ドナルド・トランプ候補に有利になるよう世論操作していたとして、アメリカのオバマ大統領(当時)はロシアへの制裁措置をとった。2017年にはアメリカ中央情報局(CIA)がサイバー攻撃ソフトを開発したと告発した。日本に関係する事例では、2011年(平成23)に在日アメリカ海兵隊のグアム移転の費用に関するアメリカ政府公電情報を暴露したことのほか、2015年にアメリカ国家安全保障局(NSA)が日本の政府機関や企業の通信を傍受していたとする文書を公開したことがあげられる。
ウィキリークスに対しては、ネット時代の「言論と報道の自由」を守るメディアであると評価する声がある一方、「告発内容の信憑(しんぴょう)性が疑わしい」「世論操作に使われやすい」などの批判がある。アメリカ、オーストラリア、中国、ドイツ、タイ政府などがサイト削除、検閲、関係者捜索などを実施し、アマゾン・ドット・コム社がウィキリークスのサーバーを停止し、決済サイト運営のペイパル社はウィキリークスのアカウントを永久停止した。2010年11月、スウェーデン政府は性的犯罪容疑でアサンジを国際手配し、12月にイギリスで逮捕したが、アサンジは保釈中に在英エクアドル大使館に駆け込み、2017年3月時点で同大使館に身を寄せている。
[矢野 武 2017年7月19日]
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