ウィキリークス(読み)うぃきりーくす(その他表記)WikiLeaks

翻訳|WikiLeaks

デジタル大辞泉 「ウィキリークス」の意味・読み・例文・類語

ウィキリークス(Wikileaks)

匿名で投稿された内部告発情報をインターネット上で公開するウェブサイトオーストラリアの元ハッカー中心となって2007年に創設。非営利のメディア組織によって運営されている。重要なニュース・情報を一般公開することを活動の目的に掲げ、各国政府・企業などの内部情報暴露。2009年にアムネスティインターナショナルの人権報道賞を受賞したが、2010年には米国務省の外交公電を公表して物議を醸した。

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共同通信ニュース用語解説 「ウィキリークス」の解説

ウィキリークス

政府や企業の関係者に内部告発を呼び掛け、提供情報を公表する民間ウェブサイト。オーストラリア出身のジュリアン・アサンジ被告らが創設した。アフガニスタンの戦闘やイラク戦争の米軍機密文書、米国家安全保障局(NSA)による内部資料を次々と公表し、世界に衝撃を与えた。2016年米大統領選民主党候補クリントン陣営のメールも暴露、米情報機関はロシア当局が選挙介入のためサイバー攻撃で流出させたと断定している。(ロンドン共同)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウィキリークス」の意味・わかりやすい解説

ウィキリークス
うぃきりーくす
WikiLeaks

政府、民間企業、宗教など各種団体の機密情報を匿名で公開する告発サイト、および同サイトを運営する民間非営利組織(NPO)の名称。使用するコンテンツ管理システムWikiWiki(ハワイことばで速いという意味)と、漏洩(ろうえい)を意味する「リークスleaks」を組み合わせた造語である。2006年、オーストラリア国籍の元ハッカー、アサンジJulian P. Assange(1971― )が欧米やアジアのジャーナリストらと創設した。事務所をもたず、スタッフ、ジャーナリスト、IT技術者らが運営に協力し、運営資金の大半寄付でまかなわれているとされる。おもに内部告発者、反体制勢力などが機密情報を投稿し、高度な技術で匿名性を守る仕組みをとっている。世界中にサーバーが分散し、ある国のサイトが閉鎖されても別の国のサイト表示が可能なシステムとなっている。2010年、アメリカ政府の外交公文書やイラク戦争時のアメリカ軍による民間人殺傷動画などを暴露して世界的な注目を集めた。2016年のアメリカ大統領選挙中には、ロシア情報機関がヒラリー・クリントン陣営や民主党にサイバー攻撃をして取得した大量メールをウィキリークスに暴露し、ドナルド・トランプ候補に有利になるよう世論操作していたとして、アメリカのオバマ大統領(当時)はロシアへの制裁措置をとった。2017年にはアメリカ中央情報局(CIA)がサイバー攻撃ソフトを開発したと告発した。日本に関係する事例では、2011年(平成23)に在日アメリカ海兵隊のグアム移転の費用に関するアメリカ政府公電情報を暴露したことのほか、2015年にアメリカ国家安全保障局(NSA)が日本の政府機関や企業の通信を傍受していたとする文書を公開したことがあげられる。

 ウィキリークスに対しては、ネット時代の「言論と報道の自由」を守るメディアであると評価する声がある一方、「告発内容の信憑(しんぴょう)性が疑わしい」「世論操作に使われやすい」などの批判がある。アメリカ、オーストラリア、中国、ドイツ、タイ政府などがサイト削除、検閲、関係者捜索などを実施し、アマゾン・ドット・コム社がウィキリークスのサーバーを停止し、決済サイト運営のペイパル社はウィキリークスのアカウントを永久停止した。2010年11月、スウェーデン政府は性的犯罪容疑でアサンジを国際手配し、12月にイギリスで逮捕したが、アサンジは保釈中に在英エクアドル大使館に駆け込み、2017年3月時点で同大使館に身を寄せている。

[矢野 武 2017年7月19日]

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百科事典マイペディア 「ウィキリークス」の意味・わかりやすい解説

ウィキリークス

匿名による内部告発や機密情報の公開を専門とするインターネットサイト。公開情報の対象は,国家機密から企業の内部情報,個人情報まで多岐にわたる。創設者はオーストラリア出身のジュリアン・アサンジュで,ノルウェーに拠点をもち,資金の大半は世界中からの寄付により,約1200名のボランティアが活動しているといわれる。機密情報や内部情報に接触可能な人物から匿名で情報が寄せられるが,情報提供者が特定されないために高度な暗号化技術が使われているとされる。2010年4月にウィキリークスは,07年のイラク戦争の際に米軍ヘリコプターが市民を銃撃殺傷した事件の映像を公開しアメリカ政府と世界に衝撃をあたえ,7月には,アフガニスタン戦争の米軍機密文書約9万点,10月には,イラク戦争の機密文書約40万点を公開,さらに12月には,外交公電を含むアメリカの外交機密文書約25万点の公開をはじめた。外交公電には,各国要人のスキャンダラスな発言も含まれており,国際的な信頼関係を損なうおそれが指摘された。アメリカ政府は,在外軍人や外交官の安全を傷つけるものとして,ウィキリークスを強く非難し政府内部の情報セキュリティの規制を強め,各国とも対応に追われているといわれる。創設者のアサンジュは1971年生まれのジャーナリスト,インターネット活動家。ウィキリークスの活動については,言論の自由の観点から擁護する意見と,情報の背後にある複雑な現実への分析を欠く垂れ流しとする否定的な意見の賛否両論がある。なおインターネット百科事典ウィキペディアとは関係がない。

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