ウェルトハイマー(読み)うぇるとはいまー(その他表記)Max Wertheimer

デジタル大辞泉 「ウェルトハイマー」の意味・読み・例文・類語

ウェルトハイマー(Max Wertheimer)

[1880~1943]ドイツの心理学者。ナチス迫害を受け、1933年に米国移住ゲシュタルト心理学創設者一人。著「運動視の実験研究」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウェルトハイマー」の意味・わかりやすい解説

ウェルトハイマー
うぇるとはいまー
Max Wertheimer
(1880―1943)

ドイツの心理学者。ゲシュタルト心理学の創設者の一人。チェコプラハに生まれ、ユダヤ系。法学哲学を経て心理学に入る。1910年から1916年までフランクフルト大学の講師。その間、助手コフカケーラーらとともに、ゲシュタルト心理学の出発点となった『運動視の実験的研究』(1912)を発表。1916年から1929年までベルリン大学に在職、ケーラー、コフカ、ゴルトシュタイン、グルーレHans W. Gruhle(1880―1958)らとともに、雑誌『心理学研究』を発刊、ゲシュタルト心理学の発展に貢献した。1933年ナチスの迫害を避けてアメリカに移り、ニューヨークのニュー・スクール・フォー・ソーシャル・リサーチの大学院で教えた。死後に『生産的思考』(1945)が出版された。

[宇津木保]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウェルトハイマー」の意味・わかりやすい解説

ウェルトハイマー
Wertheimer, Max

[生]1880.4.15. プラハ
[没]1943.10.12. ニューヨーク
ドイツの心理学者。ゲシュタルト心理学の創始者フランクフルト,ベルリン大学で教鞭をとり,1929年フランクフルト大学教授。 33年渡米,ニューヨークの New School of Social Research (新社会研究所) 大学院教授。運動視および思考研究はゲシュタルト理論の端緒となった。その他,論理学,倫理学,真理の哲学的問題にも関心を示し,きわめて独創的な学風で影響を及ぼした。主著『運動視の実験的研究』 Experimentelle Studien über das Sehen von Bewegung (1912) ,『ゲシュタルト学説についての研究』 Untersuchungen zur Lehre von der Gestalt (21,23) ,『ゲシュタルト説に関する3つの論述』 Drei Abhandlungen zur Gestalttheorie (25) ,『生産的思考』 Productive Thinking (45) 。

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改訂新版 世界大百科事典 「ウェルトハイマー」の意味・わかりやすい解説

ウェルトハイマー
Max Wertheimer
生没年:1880-1943

プラハ生れのドイツの心理学者で,ゲシュタルト心理学の創始者。ベルリン,ビュルツブルクの各大学で学んだ後,フランクフルト大学で仮現運動の知覚実験を行い,その成果を《運動視に関する実験的研究》(1912)として発表。以後,雑誌《心理学研究》を創刊し,ゲシュタルト心理学の発展に力を注いだ。1933年アメリカに移住。ゲシュタルト理論の思考過程への適用を意図した《生産的思考》(1945)は死後出版された。
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百科事典マイペディア 「ウェルトハイマー」の意味・わかりやすい解説

ウェルトハイマー

プラハ生れのドイツの心理学者。フランクフルト大学,ベルリン大学教授を歴任。ケーラーコフカとともに仮現運動の実験を行ってゲシュタルト理論の第一歩を踏み出し,ゲシュタルト心理学の創始者の一人となった。ユダヤ系で,1933年ナチスに追われ米国に移住。

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世界大百科事典(旧版)内のウェルトハイマーの言及

【ゲシュタルト心理学】より

…ゲシュタルト心理学の先駆をなしたのは,彼をはじめとするオーストリア学派の人々であった。1912年,ウェルトハイマーは仮現運動に関する実験的研究を発表したが,これがゲシュタルト心理学の誕生であった。ウェルトハイマーと,彼の実験の被験者となったケーラーコフカの3人が,以後,当時の構成主義心理学に対して反駁(はんばく)を行い,この新しい心理学を樹立した。…

【心理学】より

…W.マクドゥーガルの本能論心理学も,精神の能動性を主張する学派の一つで,精神のあらゆる活動の推進力として生得的な本能を考えた。しかし,行動主義心理学ともっとも激しく対立したのはM.ウェルトハイマー,W.ケーラーらのゲシュタルト心理学であった。彼らは全体は部分の総和以上のものであると主張し,同一刺激が同一反応を引き起こすとする恒常仮定に反対し,連合心理学以来の要素主義,機械論を否定した。…

【知覚】より

… W.ブントやE.B.ティチナーなど構成心理学の人々は,要素的な純粋感覚を仮定し,その総和と,それと連合した心像(以前に経験した感覚の痕跡)を加えたものが知覚であると考えた。しかしM.ウェルトハイマーやW.ケーラーなどゲシュタルト心理学の人々は,知覚を要素的な感覚に分けることは不可能で,むしろ直接的に意識にのぼるのはつねに,あるまとまった知覚であると考えた。例えばウェルトハイマーが1912年に発見した仮現運動の場合は,少し離れた2個の光点が順番に提示されると,静止した別々の光点には見えず一つの光点が動いているという運動印象だけが得られる。…

※「ウェルトハイマー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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