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仮現運動 かげんうんどうapparent movement

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

仮現運動
かげんうんどう
apparent movement

見かけの運動,キネマ性運動ともいう。一定位置にある刺激対象が,瞬間的に出現したり消失したりすることによって,あたかも実際に運動しているように見える現象。α (アルファ) ,β (ベータ) ,γ (ガンマ) などの種類がある。第1の刺激対象を,瞬間的にある場所に提示したのち,多少の時間間隔をおいて第2の刺激対象を瞬間的にやや離れた場所に提示すると,初めの場所から次の場所へと動きが感じられる。これがベータ運動で,映画でみられる写真や絵の動きはこれと同種の現象である。驚き盤 stroboscopeにより,少しずつ異なった絵の系列を次々に提示した場合に観察される絵の動きもその一つ。このためベータ運動は驚き盤の錯覚,または驚盤運動とも呼ばれる。アルファ運動は,主線が同一の長さをもつミュラー=リヤーの図形の外向図形と内向図形とを同一場所に交互に提示した場合に,その主線が伸び縮みして見える現象。ガンマ運動は,一つの刺激対象を短時間提示した場合に,出現するときには膨張するように,消失するときには収縮するように見える現象をいう。この仮現運動,特にベータ運動は触覚や聴覚でも生じる。 (→運動知覚 )

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デジタル大辞泉の解説

かげん‐うんどう【仮現運動】

心理学で、運動知覚の一。実際には運動がないのに、次々と類似の刺激を与えられると、運動があるように感じる現象。映画はこの現象を応用したもの。見かけの運動。

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百科事典マイペディアの解説

仮現運動【かげんうんどう】

客観的には静止している対象が急速に現れたり消えたりすることによりひき起こされる運動の印象。映画の画面が動いて見えるのはこのため。
→関連項目ウェルトハイマー

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大辞林 第三版の解説

かげんうんどう【仮現運動】

〘心〙 運動知覚の一。映画のフィルムのように、個々の画面は静止しているが、それらを一定の条件下で次々に見せると実際に動いているように見える現象。みかけの運動。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

仮現運動
かげんうんどう
apparent movement

空間的に異なる位置に二つの対象が短い時間間隔で提示されると、一方の対象から他の対象への運動がみられる。仮現運動の一般的な例は映画である。[今井省吾]

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世界大百科事典内の仮現運動の言及

【ウェルトハイマー】より

…プラハ生れのドイツの心理学者で,ゲシュタルト心理学の創始者。ベルリン,ビュルツブルクの各大学で学んだ後,フランクフルト大学で仮現運動の知覚実験を行い,その成果を《運動視に関する実験的研究》(1912)として発表。以後,雑誌《心理学研究》を創刊し,ゲシュタルト心理学の発展に力を注いだ。…

【錯視】より

…(2)明るさ,色の対比などに関しては,白,黄,緑のものは黒,赤,青のものより大きく見え(〈放散による錯視〉),色の色調や明るさは類似色が近くにあるときはいっそう似た色調や明るさに見え(〈同化による錯視〉),補色が近くにあるときはより際立って見える(〈対比による錯視〉)。(3)物の運動に関する錯視としては,風が速く流れる夜空で月が雲の間を速く走って見えるように,あるものが動くと静止しているものが動いて見える〈誘導運動の錯視〉と,映画の原理のように,刺激を空間内の異なる位置に断続的に提示すると,その刺激が初めの位置から動いたように見える〈仮現運動の錯視〉がある。(4)〈幾何学的錯視〉といわれるものは,物の大きさ(長さ,広さ),方向,角度,形などの平面図形の性質が周囲の線や形などの関係のもとで実際とは違って見えるものである(図)。…

【知覚】より

…しかしM.ウェルトハイマーやW.ケーラーなどゲシュタルト心理学の人々は,知覚を要素的な感覚に分けることは不可能で,むしろ直接的に意識にのぼるのはつねに,あるまとまった知覚であると考えた。例えばウェルトハイマーが1912年に発見した仮現運動の場合は,少し離れた2個の光点が順番に提示されると,静止した別々の光点には見えず一つの光点が動いているという運動印象だけが得られる。ケーラーは,あらゆる知覚現象には必ずそれに対応する脳の生理的過程があるという心理物理同型論psychophysical isomorphismの立場から,仮現運動が実際の運動と等しい生理過程を大脳皮質にひき起こすのであろうと考えた。…

※「仮現運動」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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