ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウォレン」の意味・わかりやすい解説
ウォレン
Warren, Robert Penn
[没]1989.9.15. バーモント,ストラトン
アメリカの詩人,小説家,批評家。テネシー州ナッシュビルのバンダービルト大学在学中から,J.C.ランサムに率いられた南部農本主義の立場に立つ詩と批評の雑誌『フュージティブ』 The Fugitiveに関係,多くの大学の教授を歴任しつつ,『サザン・レビュー』 Southern Reviewなどの編集にたずさわり,文学のあらゆる分野で活躍,小説『すべて王の臣下』 All the King's Men (1946) ,詩集『約束』 Promises (57) をはじめとする作品は,いずれも南部的主題を扱いつつ,象徴主義的手法によって一種の宗教性をそなえた独特のもので,上の2作はともにピュリッツァー賞を受けた。また新批評派の批評家としても重きをなし,『エッセー選集』 Selected Essays (58) ,C.ブルックスとの共著による新批評の分析的方法を文学教育に適用した教科書『詩の理解』 Understanding Poetry (38) などは有名。ほかに,ケンタッキーのたばこ戦争を扱った処女小説『覆面騎馬団』 Night Rider (39) をはじめ,『世界も時も』 World Enough and Time (50) ,『天使の群れ』 Band of Angels (55) ,『洞穴』 The Cave (59) ,『荒野』 Wilderness (61) ,『洪水』 Flood: a Romance of Our Time (64) などの,アメリカの歴史上の事件を題材にした小説や,短編集『屋根裏部屋のサーカス』 The Circus in the Attic (48) がある。 86年アメリカ初の桂冠詩人に選ばれた。
ウォレン
Warren, J. Robin
オーストラリアの病理学者。 1961年アデレード大学を卒業後いくつかの病院で研修を重ね,1968~99年ロイヤルパース病院に病理医として勤めた。 1979年胃炎患者の胃粘膜に未知の桿状の細菌,ピロリ菌 (ヘリコバクター・ピロリ) が存在することに気づいた。その後,同病院の医師バリー・J.マーシャルとともにピロリ菌の研究を進め,患者 100人の組織を調べ,胃炎,胃潰瘍,十二指腸潰瘍のほとんどすべての患者からこの菌の存在を確認した。 1982年ピロリ菌の分離・培養に成功。ストレスや胃酸過多が主たる原因とみなされていたそれまでの常識を覆し,ピロリ菌による感染症であることを示し,予防や治療に大きな変革をもたらした。この功績により,2005年マーシャルとともにノーベル生理学・医学賞を受賞。 1995年ラスカー賞,1997年パウル・エールリヒ賞受賞。
ウォレン
Warren, Earl
[没]1974.7.9. ワシントンD.C.
アメリカ第 14代連邦最高裁判所長官。 1912年カリフォルニア大学卒業。 39~43年カリフォルニア州最高法務官。 43~53年同州知事。 48年共和党副大統領候補 (大統領候補は T.デューイ) となったが選挙で敗れた。 53~69年連邦最高裁判所長官。 54年5月 17日公立学校での人種差別は違憲と判決。 J.ケネディ大統領暗殺事件 (1963.11.22.テキサス州ダラス) の調査のため,63年 11月 29日設置されたウォレン委員会委員長。 64年9月,容疑者 L.H.オズワルドの単独犯行と断定するウォレン報告を公表したが,真相はいまだ疑問視されている。 69年6月引退。
ウォレン
Warren, Mercy Otis
[没]1814. マサチューセッツ,バーンスタブル
アメリカ独立革命期に活躍した女流詩人,劇作家,歴史家。愛国派指導者 J.ウォレンの妻で,独立革命の初期に風刺詩『へつらう人』 The Adulateur (1773) や『グループ』 The Group (75) を書いて桂冠詩人となった。独立後には『アメリカ独立革命の勃発,進展,終結の歴史』 History of the Rise,Progress and Termiation of the American Revolution (1805) を著わしアメリカ独立革命を擁護した。
ウォレン
Warren
ウォレン
Warren, Gouverneur Kemble
[没]1882.8.8.
アメリカの軍人,陸軍の技術者。 1850年陸軍士官学校卒業。アメリカ西部の地図作成に貢献。南北戦争のときはゲティズバーグの戦い (1863) で,北軍の少佐およびポトマック軍団の技術将校として活躍した。
ウォレン
Warren
ウォレン
Warren, Joseph
[没]1775.6.17. バンカーヒル
アメリカ独立革命初期の指導者,医師。 1774年本国議会の越権に抗議した「サフォーク決議」の起草者の一人。マサチューセッツ革命評議会,ボストン公安委員会のメンバー。バンカーヒルの戦いで戦死。
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