日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
エリクソン(Leifr Eiríksson)
えりくそん
Leifr Eiríksson
(975ころ―1020ころ)
アメリカ大陸を最初に探検したアイスランド人。「幸運児」と称される。父、赤毛のエリックとグリーンランドへ移住。アイスランドの散文物語サガの一つ『赤毛のエリックのサガ』Eiríks saga rauða(13世紀中ごろ)によれば、アメリカを発見した(1003ころ)となっているが、より信頼しうる『グリーンランド人のサガ』Grænlendinga saga(12世紀末)によると、まず、ノルウェー商人ビヤルニBjarniが、アイスランドからグリーンランドへ航海中、霧と風に流されて未知の海岸を発見したが、上陸せずそのまま北東に進み、グリーンランドに到達した(986)。この情報をもとに、エリクソンは、その地の探検を決意し(990)、出発した。海岸沿いにヘルランドHelluland(バフィン島)、マルクランドMarkland(ラブラドル半島)、「ブドウの自生する」ビンランドVinland(ニューファンドランド島周辺)を探検し、ここで冬を越した。定住を試みたが、「スクレーリング」と称される先住民の抵抗にあい、帰還した。
[荒川明久]