エンケ彗星(読み)エンケスイセイ(英語表記)comet Encke

デジタル大辞泉 「エンケ彗星」の意味・読み・例文・類語

エンケ‐すいせい【エンケ×彗星】

公転周期3.3年の短周期彗星。1786年にフランスの天文学者ピエール=メシャンが発見。以降、1818年まで4度確認され、それぞれ別の彗星だと思われていたが、ドイツの天文学者ヨハン=フランツエンケ軌道計算し、同一の彗星であることがわかった。牡牛座流星群母天体

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改訂新版 世界大百科事典 「エンケ彗星」の意味・わかりやすい解説

エンケ彗星 (エンケすいせい)
comet Encke

1818年11月,J.L.ポンスが発見した小すい星の軌道を,J.F.エンケは初めてC.F.ガウスの方法で計算し,周期約3.3年で太陽のまわりを公転することを知った。1786年,95年,1805年に出現した3すい星の軌道も似ていて,出現の間隔が3.3年の整数倍であることから,これら4すい星は同じ天体であると指摘した。22年にこれが再び観測され,エンケの予言が的中し,太陽系の中に短周期すい星が存在することが明らかになった。この功績に対して,このすい星をエンケすい星と呼ぶ。現在知られている周期すい星の中で周期がいちばん短い。
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百科事典マイペディア 「エンケ彗星」の意味・わかりやすい解説

エンケすい(彗)星【エンケすいせい】

現在知られている周期すい星のうち,最も周期の短いすい星。1818年にJ.L.ポンスが発見。J.F.エンケがその軌道を計算で求め,周期約3.3年で太陽のまわりを公転することを見出した。1822年にこのすい星が再び観測され,太陽系に短周期すい星が存在することが確かめられた。
→関連項目エンケ

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世界大百科事典(旧版)内のエンケ彗星の言及

【彗星】より

…太陽系を構成する天体の一つで,希薄なガスに包まれ,ときには長い尾を引いて,ほうきの形に見え〈ほうきぼし〉とも呼ばれる。“すい星のように……”とは,優れた人物がその社会に突然現れるときに使われる表現である。 何らの予告もなく,突然出現し,姿,形を変える大すい星の存在は太古から知られていて,日・月食などとともに人々の恐怖の的となり,迷信の対象となっていた。中国では古くからその字が示すようにすい星は天体であると考えられていたが,西洋ではアリストテレス以来,長い間すい星は虹や稲妻のように,地球大気内の現象だと思われていた。…

※「エンケ彗星」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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