エンディミオン(英語表記)Endymion

翻訳|Endymion

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

エンディミオン
Endymion

イギリスの詩人 J.キーツのギリシア神話に取材した物語詩。4巻 4050行から成り,1818年刊。第1巻ではラトモス山麓の牧羊者王国の若い君主エンディミオンが,月の女神シンシアを夢に見て恋し,彼女を求めて旅に出る。2巻,3巻は地下と海底の放浪を描き,ビーナスとアドニス,アルペイオスとアレトゥーサ,グラウコスとスキューレの悲話伝説が組込まれる。第4巻ではインドの少女に恋した主人公が,天上と地上の両対象に引裂かれて悩むが,インドの少女は実は月の女神の化身であることがわかり,主人公は女神とともに天上界へ昇っていく。理想美の探求が現実の美の追求によって成就されることを示す寓意物語と解釈される。キーツ自身がこの作品を「成就された仕事というよりは熱病的な試み」と評した序文は有名。なお J.リリーと B.ディズレーリに同名の作品がある。 (→エンデュミオン )  

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デジタル大辞泉プラスの解説

エンディミオン

米国の作家ダン・シモンズの長編SF(1996)。原題《Endymion》。「ハイペリオン四部作」の第3作。

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世界大百科事典 第2版の解説

エンディミオン【Endymion:A Poetic Romance】

イギリスの詩人ジョン・キーツ作の英雄体二行連句で書かれた4部からなる物語詩。1817年4~11月執筆,18年出版。オウィディウスの《転身物語》,M.ドレートンの《月影の人》(1606)などを材源とするこの詩で,牧者エンディミオンが第1部において夢の中で出会う月の女神シンシアを求めて,地下(第2部),海底(第3部),空(第4部)と彷徨し,最終部で出会う〈インドの少女〉が実はシンシアへと変身する。理想美と現実,想像力と真理との相互関係を寓喩化した作品である。

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世界大百科事典内のエンディミオンの言及

【エンデュミオン】より

…月の女神セレネSelēnēは,ラトモス山中で眠っている少年を見て恋心を覚え,その美しさを飽かず眺めていられるよう,彼に永遠の眠りを与え,日が沈むと地上に降っては,若さを保ったまま眠りつづける恋人と夜をともにしたという。キーツの長詩《エンディミオン》は,永遠の美の探求をこの神話に託して歌った作品として名高い。【水谷 智洋】。…

【キーツ】より

…ペトラルカ形式のソネット《チャップマン訳ホメロスを初めて読みて》は20歳の時の傑作で,新古典主義の文体で書かれたポープ訳ホメロスが一般的であった時代にあって,17世紀初頭に書かれたG.チャップマン訳に感動したキーツの感性は,まさにロマン派のそれであったと言える。これら初期の詩を集めた処女詩集が22歳で出るが,短詩が多く,偉大な詩人たらんとしたキーツは大作を書くことにとりつかれ,1817年《エンディミオン》を執筆する。その間にも彼はシェークスピアを耽読し,翌年1月にはソネット《リア王再読》を書き,初期の詩で追求した感覚美に満ちたスペンサー的ロマンスの世界との決別を表明する。…

【グラウコス】より

…その後,まだ美少女だったスキュラSkyllaに求愛したものの相手にされなかったため,魔女キルケに助力を請うたところ,彼女はスキュラを海の女怪に変じてしまったという。この話はイギリスの詩人キーツの長詩《エンディミオン》の中でも,海神みずからの口から語られている。(2)英雄。…

※「エンディミオン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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