オオケタデ(英語表記)prince's feather
Polygonum orientale L.

改訂新版 世界大百科事典 「オオケタデ」の意味・わかりやすい解説

オオケタデ
prince's feather
Polygonum orientale L.

花壇や庭に夏に咲く高さ1~2mになるタデ科の大型の一年草オオタデともいう。桃紅色花房は10cm以上になって垂れ下がって美しい。原産地はアジアの温暖帯と考えられるが,インドから中国大陸にいたる各地に野生化したものがあって,はっきりしない。葉がヘビの毒を消すとも伝えられてハブテコブラ異名もある。日本にも古くから渡来し観賞用につくられたが,性質はじょうぶでこぼれ種でよく育つから,路傍空地に雑草化しているところもある。葉は大きく尖卵形で,ふつうは緑色だがまれに斑入りのものがある。節々はふくれ,倒れると起き上がる。花は7~8月,茎頂に枝を分けて咲くが,小花を密生して花穂となる。小花には花弁がなく,5枚に深裂した萼片が花弁のように見え,色は濃赤色,淡紅色でまれに白色がある。おしべは8本,花柱は2本。種子は褐色で扁円形

 栽培は容易で,土質を選ばないが,草丈を低く咲かせたいときは6月までに切り戻して分枝させるか,種まき時を遅らせるとよい。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オオケタデ」の意味・わかりやすい解説

オオケタデ
おおけたで / 大毛蓼
[学] Persicaria orientalis (L.) Spach
Polygonum orientale L.

タデ科(APG分類:タデ科)の大形の一年草。全体に白い軟毛がある。茎は直立し、よく分枝して高さ2メートルに達する。葉は互生し、長さ10~20センチメートル、幅7~15センチメートル、広卵形で先は鋭くとがり、基部は心臓形で柄は長い。鞘(さや)は筒状、膜質で毛があり、辺縁は緑色で広がる。花は8~10月、各分枝の先に密な穂状花序をつけて下垂する。花被(かひ)は紅色で5裂し、長さ3.5ミリメートル。痩果(そうか)は扁円(へんえん)形で約3ミリメートル、光沢はない。東南アジア原産で、日本では観賞用に栽培する。葉はマムシの毒を消す作用があるといわれ、ハブテコブラの名がある。

[小林純子 2020年12月11日]


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百科事典マイペディア 「オオケタデ」の意味・わかりやすい解説

オオケタデ

東南アジア原産のタデ科の一年草。観賞用に植えられる。高さ2mくらいになり,葉は大型の卵形で,全株に粗毛を密生する。夏〜秋,枝頂に淡紅色の大きい花穂を下垂する。栽培は容易で,水はけのよい,腐植質が多い土質がよい。一度作ると種子がこぼれて毎年よく発芽するため,各地で野生化している。

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世界大百科事典(旧版)内のオオケタデの言及

【イヌタデ】より

…【土屋 和三】。。…

【イヌタデ】より

…ボントクタデP.pubescens Bl.(イラスト)も水辺に生じる。漢方薬では,オオケタデP.orientale L.とオオイヌタデの堅果とともに水生紅子と称し,瘰癧(るいれき),消渇に薬効がある。また開花前に刈り取って茎葉を染色に用い,クロム媒染で鶸茶(ひわちや)などに染める。…

※「オオケタデ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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