オペラコミック(その他表記)〈フランス〉opéra-comique

デジタル大辞泉 「オペラコミック」の意味・読み・例文・類語

オペラ‐コミック(〈フランス〉opéra-comique)

普通のせりふを交えた歌劇ビゼーの「カルメン」など。
[類語]歌劇楽劇喜歌劇オペラオペラセリアオペラブッファオペレッタミュージカル

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精選版 日本国語大辞典 「オペラコミック」の意味・読み・例文・類語

オペラ‐コミック

  1. 〘 名詞 〙 ( [フランス語] opéra comique ) イタリアのオペラ‐ブッファの喜劇的傾向を受けついで、一八世紀フランスに発達した風刺的なオペラ。対話のせりふと歌を併用するのが特色市民階級に愛好され、革命にも影響を与えた。
    1. [初出の実例]「僕がオペラコミックやテエターフランセースの常客であったにしろ」(出典:社会百面相(1902)〈内田魯庵〉ハイカラ紳士)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オペラコミック」の意味・わかりやすい解説

オペラ・コミック
おぺらこみっく
opéra comique フランス語

フランス・オペラの一種。フランスに古くからあった大衆的なボードビルに、イタリアの即興喜劇などの要素が加わって、18世紀に成立した喜劇的オペラで、対話部分に地の台詞(せりふ)を用いた。18世紀中葉以降、J・J・ルソーやグレトリーらによって大きく発展したが、しだいに叙情的なものも多く書かれるようになり、伝統的なオペラの形に近づいて、両者区別は台詞の有無だけになった。19世紀中葉以降、喜劇的なものと叙情的なものに大きく分かれ、前者はオペラ・ブフまたはオペレッタ、後者はオペラ・リリックともよばれた。オペラ・リリックの系列からはビゼーの『カルメン』などの傑作が生まれたが、19世紀末にはグラントペラと区別がつかなくなった。

[今谷和徳]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オペラコミック」の意味・わかりやすい解説

オペラ・コミック
opéra comique

オペラの一種。民衆的な歌芝居に起源を発するフランスの喜歌劇。痛烈な風刺精神が歓迎され,フランス革命前のパリ楽壇に新風をもたらした。今日の意味では,語られるせりふと歌とを併用するフランス風オペラの総称。ビゼーの『カルメン』は近代における代表的傑作。

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世界大百科事典(旧版)内のオペラコミックの言及

【オペラ】より

…その流れを汲むイタリアのオペラ・セーリアopera seria(正歌劇)やフランスのトラジェディ・リリックtragédie lyrique(抒情悲劇)は,古典的な格調の高さにおいて高度の様式美を維持しながら,社会の上層部,支配階級と結びついて発展した。18世紀以降は,これに対して,イタリアではオペラ・ブッファopera buffa(道化オペラの意),フランスではオペラ・コミックopéra comique(喜歌劇,のちにはせりふを含むオペラを意味する),イギリスではバラッド・オペラballad opera(俗謡オペラ),ドイツではジングシュピールSingspiel(歌芝居)など,より庶民的な性格の強いオペラのタイプが興ったが,それらに共通するのは,正歌劇や抒情悲劇の貴族性と形式ばった様式に対する反動とパロディの精神であった。つづく19世紀には,作品の規模,壮大な舞台効果,シリアスな情緒において,かつてない高みに登ろうとした〈グランド・オペラgrand opéra〉に対して,再び庶民的な気軽さと息抜きを求めるオペレッタが興った。…

【フランス演劇】より

… 1672年,J.B.リュリが〈王立音楽アカデミー〉の独占権の勅許を得,劇場における音楽とバレエが制度的に〈言葉の演劇〉から切り離され,80年にはブルゴーニュ座とモリエール亡き後のその劇団が勅命により合体されて〈コメディ・フランセーズ〉となり,三大作家を中心とする〈古典〉の上演を使命とするようになると,〈演劇(テアートル)〉という言葉が〈言葉の演劇〉を指す傾向は顕著になる。リュリのオペラ(P.キノー台本)などによるバレエ入りフランス・オペラの隆盛は,18世紀にはJ.P.ラモーへと引き継がれ,それに対する批判がルソーを理論家とする〈道化論争querelle des Bouffons〉となるが,これはすでに,のち1759年にサン・ジェルマンの市(いち)において初演される,モンシニーPierre Alexandre Monsigny(1729‐1817)の最初の〈オペラ・コミック〉(《軽はずみな告白》)を予告している。古典主義[文学]
【18世紀】
 18世紀は,ボルテール,デュ・ボス師をはじめとする批評的言説によって,まずは17世紀の栄光を批判的に確立する〈ふるい〉の役を果たす。…

※「オペラコミック」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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