オリゴマー(読み)おりごまー(その他表記)oligomer

デジタル大辞泉 「オリゴマー」の意味・読み・例文・類語

オリゴマー(oligomer)

同種分子の数が2個から多くても20個程度からなり、比較的に分子量の低い重合体
[補説]例えば、ヘモグロビンは2種類のポリペプチド鎖が2本ずつ会合したオリゴマーたんぱく質である。

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精選版 日本国語大辞典 「オリゴマー」の意味・読み・例文・類語

オリゴマー

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] oligomer ) 比較的分子量の小さい重合体。例えばペプチドではアミノ酸五ないし一〇以下で構成されるもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「オリゴマー」の意味・わかりやすい解説

オリゴマー
おりごまー
oligomer

単量体モノマー)が低い程度に重合してできた重合体で、分子量は1000以下のものをいう。高分子化合物がその機械的強度などの実用的性質を示すためには、分子量が少なくとも数万程度以上を必要とする。オリゴマーは高分子物質の性質を示さず、一般の有機化合物と同じように減圧蒸留分離も可能である。重合反応を、四塩化炭素のような連鎖移動がおこりやすい溶媒中で行うと、極度に低いオリゴマーを生成させることができる。このようなビニル重合の一方法をテロメル化(短鎖重合)といい、用いられる連鎖移動剤をテローゲン、単量体をタキソーゲン、生成したオリゴマーをとくにテロマーという。このテロマーを減圧蒸留で分離して、各種工業製品の原料としている。

[垣内 弘]

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改訂新版 世界大百科事典 「オリゴマー」の意味・わかりやすい解説

オリゴマー
oligomer

高分子化合物の生成反応において,原料のモノマー(単量体)から生成するポリマー(重合体)のうち,比較的重合度の低いものをいう。オリゴマーを定義する明確な重合度があるわけではないが,一般に二量体三量体から分子量1000程度のものを指す。オリゴマーには高重合度のポリマーとは異なる用途があり,たとえばプロピレンのオリゴマーは界面活性剤の原料として用いられている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オリゴマー」の意味・わかりやすい解説

オリゴマー
oligomer

蛋白質の完成した1分子が数個サブユニットから成る場合に,サブユニットの各1個をプロトマーといい,完成した蛋白質分子をオリゴマーという。たとえば,ヘモグロビンの場合,各2個ずつのα鎖およびβ鎖はプロトマーであり,2個ずつのαおよびβが α2β2 の形に組合わさったものがオリゴマーである。同一のオリゴマーは,周囲条件および結合する分子によって,わずかずつ異なる立体構造をとることが可能で,これをその蛋白質の四次構造という。

オリゴマー
oligomer

一般に,分子量が1万以下の低重合体をいうが,その範囲は明確なものではない。オリゴマーは低分子と高分子の中間の性質をもち,現在までに種々の液状または固体のオリゴマーが合成されている。オリゴマーは塗料,接着剤潤滑剤可塑剤,化粧品などの各種用途のほか,合成原料としても使われている。

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化学辞典 第2版 「オリゴマー」の解説

オリゴマー
オリゴマー
oligomer

一般に,重合度の低い重合体のことをいう.オリゴマーには,構造上鎖状オリゴマーと環状オリゴマーが,また組成上ホモオリゴマーとコオリゴマーが,それぞれ存在する.オリゴマーとポリマーの区別は必ずしも明確にはできないが,構成単位の数が数個(1~3個)変化すると,大きく物性が変化するものをオリゴマーという.オリゴマー(重合度)の合成法をオリゴメリ化(oligomerization)という.

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栄養・生化学辞典 「オリゴマー」の解説

オリゴマー

 いくつかの高分子の単位(例えばタンパク質),もしくは低分子の単位(単糖,ヌクレオチド,アミノ酸)が結合したもの.構成する単位の数によってダイマー,トリマー,テトラマーなどといい,オリゴマーはこれが数個までのもの.

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