アメリカ合衆国北西部を南北に走る山脈。カリフォルニア州シエラ・ネバダ山脈の延長として,約1100kmにわたって同州北部のラッセン山から北に延び,オレゴン,ワシントン両州を貫き,カナダの海岸山地Coast Mountainsへと続く。コルディレラ褶曲山系に属し,火山が連なり,とくにワシントン州のセント・ヘレンズ山の近年の噴火活動は注目を集めている。最高峰は〈タコマ富士〉とも呼ばれるレーニア山(4392m)でその他3000mを超す高峰が多い。中央部をコロンビア川が横谷をなして横断し,その泡立つ急流(カスケード)に地名は由来する。東側斜面は比較的乾燥しているが,西側斜面は多雨。豊かな水資源は発電や灌漑に利用され,ダグラス・ファーやマツ類などの森林資源にも恵まれる。レーニア山,クレーター・レーク,ラッセン・ボルカニックなどの国立公園に代表される自然美を求めて,訪れる観光客は多い。
執筆者:矢ヶ崎 典隆
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
カナダのブリティッシュ・コロンビア州南部からアメリカ合衆国カリフォルニア州北部まで南北に延びる山脈。ロッキー山脈とは国境付近でオカノガン川により境され、シエラ・ネバダ山脈とはフェザー川で分けられる。北からベーカー(3285メートル)、レーニア(4392メートル)、フード(3424メートル)、シャスタ(4317メートル)、ラッセン(3186メートル)など3000メートル以上の高山が九つあり、いずれも火山である。1980年に噴火したセント・ヘレンズ山(2549メートル)もこの山脈に属する。変成岩が露出するシエラ・ネバダと違い、火山岩が全面を覆い、国境以北で花崗(かこう)岩が露出する。西側斜面は降水量が豊富なため材木生産と水力発電が行われ、東側はおもに放牧が営まれる。
[鶴見英策]
…アラスカ州とハワイ州を除く48州(本土と呼ぶこともある)では,大西洋岸のアパラチア山脈,中央部の平地,太平洋岸のコルディレラ山系に大別できる。コルディレラ山系はロッキー山脈,カスケード山脈,コースト・レーンジズ(海岸山脈)などの数列の山脈から構成される。 大西洋岸からメキシコ湾岸にかけては,低平で湿地の多いコースタル・プレーン(海岸平野)が続く。…
※「カスケード山脈」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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