カッワーリー(その他表記)qawwālī[ウルドウー]

デジタル大辞泉 「カッワーリー」の意味・読み・例文・類語

カッワーリー(〈ウルドゥー〉qawwali)

イスラム教神秘主義スーフィズムに依拠する宗教歌謡。胡坐こざした複数歌い手が、ハーモニウム太鼓手拍子などをバックに、神アッラーへの賛歌を歌う。→スーフィー

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「カッワーリー」の意味・わかりやすい解説

カッワーリー
qawwālī[ウルドウー]

インド,パキスタンおよびバングラデシュのイスラム教徒の宗教賛歌。この語はqawl(〈証(あかし)の言葉〉)に由来し,イスラム神秘主義の聖者pīrの廟で行われる記念祭にカッワールと呼ばれる音楽家によって歌われるものを指す。本来,スーフィーがその信仰告白と神との合一を達成する目的で行う集会で歌われた歌で,ペルシアウルドゥー語の詩型ガザルに節をつけて朗唱するもの。その内容は神秘主義的愛を歌い,神や預言者,聖者やイマームを熱烈にたたえるものが多い。伝説によれば,インドの詩人アミール・ホスローがこのカッワーリーなる歌唱様式を創始したとされるが,音楽的には今日の北インドの古典音楽ヒヤールと密接な関係をもつ。18~19世紀にはカッワールがヒヤールを歌っていた事実が知られ,今日のヒヤールの中にはカッワーリーに基づくレパートリーが存在する。現在カッワーリーは,一座のリーダーとしての歌い手,ハルモニウム,ドーラク(太鼓),ダンタル(金属製の体鳴楽器),小型シンバル,タンバリン,そして大正琴から成る楽団サマジュによって演奏される。今日のカッワーリーはモスクや廟の境内のみならず,街の広場レストランなど非宗教的な場でも行われ,海外へも公演に出かけるほどポピュラーになっている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「カッワーリー」の意味・わかりやすい解説

カッワーリー

インド,パキスタン,バングラデシュのムスリムの宗教賛歌。本来,スーフィーがその信仰告白と神との合一を達成する目的で行う集会で歌われた歌で,ペルシア,ウルドゥー語の詩型ガザルに節をつけて朗唱する。音楽的にはカヤールと密接な関係をもつ。現在では,一座の長としての歌い手,ハルモニウム,ドーラク(太鼓),ダンタル(金属製体鳴楽器),小型シンバル,タンバリン大正琴から成る楽団によって演奏され,非宗教的な場でも行われる。
→関連項目ヌスラットヒンドゥスターニー音楽

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android