翻訳|tambourine
打楽器の一種。タンブリンともいう。直径24~42cm,深さ6cmの木または金属の枠の片面に,皮またはプラスチックヘッドを張り,枠の中央部に8ヵ所ほど楕円形の孔をあけ,各孔の真中に1本の針金を通し,そこに直径4cmの薄い金属円盤2枚を取り付けたもの。古代から宗教儀式,踊りに使われた。西アジア,北アフリカおよびインドで用いられるドゥッフは,タンバリンの起源とみられ,イラン,パキスタン,アラブ諸国でダーイラと呼称されている楽器もタンバリンの種類である。18世紀,中東から東ヨーロッパに入り,ジプシーの楽器となる。手でたたく,振る,こするだけでなく,ブラジルではこれを空中に投げたり,体のすべてを使って演奏し,その技は曲芸的である。
執筆者:有賀 誠門
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膜鳴および体鳴の両要素を兼備した打楽器。タンブリンともいう。木製の枠(ごく浅い円筒状が一般的)に、片面のみ皮膜(羊、牛、合成皮革)を接着剤や鋲(びょう)で留めた枠太鼓であるが、これに加えて、枠に小さな金属円盤(対(つい)になったシンバル型が多い)を並べて、異質の音を融合させている。現在、管弦楽では、直径約25センチメートルのものが使用されている。膜面の中央や端、あるいは木枠の部分を打つときに、指先、指関節、こぶし、手のひら、膝(ひざ)、または桴(ばち)を使い分けて、大小の音をダイナミックにあるいは微妙に表現できる。また、ぬれた親指の先で膜をこすって風変わりなトレモロ効果を出したり、楽器全体を振って金属音だけを聞かせることもできる。
この楽器は西アジア古代文明に端を発し、インド、中国、インカ、グリーンランド、中世ヨーロッパなどに広く伝播(でんぱ)した。オーケストラには18世紀後期のモーツァルト以来用いられ、東洋的雰囲気や舞曲の感じを出すのに利用されている。
[山口 修]
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「タンブラン」のページをご覧ください。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…管楽器も,ガイタgaitaと呼ばれる縦笛,ドゥルサイナdulzainaと呼ばれる素朴なクラリネット,あるいはバッグパイプ(これもガイタと呼ぶことが多い)など,地方によっていろいろな種類が用いられる。打楽器はともに古い起源をもつタンバリン(パンデレータpandereta)とカスタネット(カスタニュエラスcastañuelasまたはパリーリョスpalillos)のほか,大小の太鼓類がある。クリスマスの楽器として知られるサンボンバzambombaは,太鼓の中央に1本のアシを通し,ぬれた手でそれをこすることにより面皮を共鳴させる〈摩擦ドラム〉である。…
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[構造]
構造の主要部分は,音を生み出すために必要な,膜の緊張を保持する機構と,膜の振動を太鼓の音として特徴づける機能をもつ胴の形態である。(1)膜 膜の形は一般に緊張力に有利な円形であるが,楕円形(ラップランドのギーブルgievre),四角形(ドゥッフ),多角形(ダッフおよび中国のタンバリン),あるいは木の幹の断面そのままの不規則な形を残しているもの(アフリカ)などがある。材料は主として動物の革で,初期には水生動物(魚,爬虫類),後になって陸生動物が用いられるようになったといわれているが,現在もなおエジプトのダルブッカ,ハワイ諸島のパフ・フラpahu huraなどには魚,中国大陸,インドシナ半島,南アメリカではわずかではあるが蛇,オセアニア各地ではトカゲの皮が用いられている。…
…アラブやトルコの古典音楽に用いられるものは,直径約25~30cmで,木枠の側面に3~5対の小型シンバルが取り付けられている。西洋のタンバリンはもともと西アジア起源で,ドゥッフの一種と見ることができる。事実アドゥフェadufeと呼ばれるポルトガルの四角形タンバリンの名称は,アラビア語のドゥッフに由来する。…
※「タンバリン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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