カリガリ博士(読み)カリガリはかせ(英語表記)Das Kabinett des Dr. Caligari

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

カリガリ博士
カリガリはかせ
Das Kabinett des Dr. Caligari

ドイツ映画。デクラ 1919年作品。監督ロベルト・ウィーネ。脚本カール・マイヤー,ハンス・ヤノビッツ。主演ウェルナー・クラウス,コンラート・ファイト。ドイツ表現主義映画の代表作で,精神病院の患者の体験話が筋になっている。見世物催眠術師カリガリ博士 (クラウス) は眠り男 (ファイト) を使って犯罪を行なっていたが,患者の青年に正体をあばかれそうになって逃げる。患者の話が終ると院長が現れ,それがカリガリ博士だった。表現主義画家 W.レーリヒ,W.ライマンらの装置や幻想的主題により,一躍ドイツ表現主義映画を国際的にした。

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百科事典マイペディアの解説

カリガリ博士【カリガリはかせ】

ドイツ映画。1919年作。監督ロベルト・ウィーネ,主演ウェルナー・クラウス。催眠術をかけた男を使って悪事を働く大道芸人のカリガリ博士が実は精神病院の院長であったという怪奇物語。ドイツ表現主義映画の代表作。影を強調した画面や奇異な装置がその後の映画に影響を与えた。

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デジタル大辞泉プラスの解説

カリガリ博士

1919年製作のドイツ映画。原題《Das Kabinett des Doktor Caligari》。ドイツ表現主義の古典的傑作とされるサイレント映画。監督:ロベルト・ビーネ、出演:コンラート・ファイト、ベルナー・クラウス、リル・ダゴファーほか。

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世界大百科事典 第2版の解説

カリガリはかせ【カリガリ博士 Das Kabinett des Dr.Caligari】

1919年製作のドイツ映画。ロベルト・ウィーネ監督作品。1920年代のドイツの〈表現主義映画〉の端緒となった名作。ある精神病院の患者の妄想の中で展開される奇怪な中世風の殺人事件を描く。戦場の体験を通じて絶対主義が最大の敵であると確信していたプラハ生れの詩人H.ヤノウィツと,前線で虐待されて軍隊と精神病医を憎悪していたオーストリア生れの脚本家C.マイヤー(1894‐1944)の合作によるシナリオは,精神病院の院長であるカリガリ博士が象徴するドイツ帝制,国家権力の絶対主義を弾劾しようとする意図で書かれたものであった。

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大辞林 第三版の解説

カリガリはかせ【カリガリ博士】

1919年に製作されたドイツ表現主義映画の代表作。 R =ウィーネ監督、 W =クラウス主演による。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

カリガリ博士
かりがりはかせ
Das Kabinett des Dr. Caligari

ドイツ映画。監督ロベルト・ウィーネ。1919年作品。20世紀初頭ドイツでおこった表現主義を積極的に摂取した表現主義映画の代表作。曲線や斜線が異様に支配する構図、ゆがめられた遠近法、幻想的な照明効果、誇張された演技などの反リアリズム的要素から成り立ち、不安と混沌(こんとん)の内的イメージを強烈に主観描写した映画史上画期的な作品である。
 原作者カール・マイヤーとハンス・ヤノウィッツは、眠り男ツェザーレを操って殺人事件を引き起こしていく主人公カリガリ博士の狂暴性を描き、戦争遂行者である国家を告発しようとした。しかし、映画化の段階で、すべては精神科病院患者の妄想であったというように改められた。ウェルナー・クラウスがカリガリ博士、コンラート・ファイトが眠り男を演じている。1921年(大正10)日本公開。当時の徳川夢声の名解説が語りぐさになっている。[奥村 賢]

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精選版 日本国語大辞典の解説

カリガリはかせ【カリガリ博士】

(原題Das Kabinett des Dr. Caligari) ドイツ映画。サイレント。一九一九年作。ロベルト=ウィーネ監督。精神病医カリガリの狂的妄想の中に展開する、夢遊病青年の娘殺害事件を、極端にデフォルメした映像感覚で描く。表現主義映画の代表作。

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世界大百科事典内のカリガリ博士の言及

【SF映画】より

…次いで1902年,フランスの奇術師G.メリエスがJ.ベルヌの空想科学小説から初の〈SF映画〉《月世界旅行》を完成した。 第1次世界大戦直後の19年,ドイツ表現主義映画の最初の傑作として名高いR.ウィーネ監督の《カリガリ博士》が,マッド・サイエンティスト(狂った科学者),その実験から生まれた怪物,怪物に襲われる美女という〈怪奇映画〉のパターンを創造した。さらに,フリッツ・ラング監督の《メトロポリス》(1926)は,表現派というよりも初の本格的SFスペクタクルであり,ロボットを作る実験室のエピソードや,バベルの塔建設の幻想などを,〈シュフタン・プロセス〉による特殊効果を駆使して描いた壮大な作品だが,興行的な失敗から製作会社のウーファを破産寸前に追い込んだ。…

【怪奇映画】より


[怪奇映画の源流]
 怪奇映画のもっとも古いテーマは,《フランケンシュタイン》と《ジキル博士とハイド氏》の二つの文芸作品から生まれ,いずれも1908年に映画化されているが,映画史的には,怪奇映画の源流は,第1次世界大戦直後に始まる〈ドイツ表現主義映画〉(表現主義)に発するというのが定説である。ロベルト・ウィーネ監督の《カリガリ博士》(1919)がその典型で,〈怪奇映画の真の青写真〉と呼ばれ,〈狂人博士―怪物―襲われる美女〉のパターンをつくった映画ともいわれている。次いでブラム・ストーカー原作《吸血鬼ドラキュラ》の初の本格的な映画化であるF.W.ムルナウ監督の《ノスフェラトゥ》(1922)が現れる。…

【ワイマール文化】より

…だがそれは大衆が両義的だったと同様に,最初から通訳不可能な矛盾を内包したアンビバレンスを特徴としていた。ドイツ人の内的ジレンマを表出した怪奇幻想が,ドイツ表現主義映画を規定する基調音であるが,傑作《カリガリ博士》は,それをもっともよく代表している。そのうす気味悪い形姿はクラカウアーによってナチズムの抑圧的暴君体制を予言したものとされ,ゲイPeter Gay(1923‐ 。…

※「カリガリ博士」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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