カンフェン(読み)かんふぇん(その他表記)camphene

翻訳|camphene

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カンフェン」の意味・わかりやすい解説

カンフェン
かんふぇん
camphene

天然に存在するモノテルペン系炭化水素であり、精油成分の炭化水素中で常温において結晶する唯一のものである。光学異性体があってd(+)体は樟脳(しょうのう)、レモンなどの精油成分、l(-)体はアビエス油、セイロンシトロネラ油などの成分、ラセミ体は多くの精油中に含まれている。市販品はすべて合成品で20%までのトリサイクレンを含有している。工業的にはα(アルファ)-ピネンを異性化して合成する。合成樟脳殺虫剤、合成サンダルウッド系香料の製造原料として重要である。

[佐藤菊正]


カンフェン(データノート)
かんふぇんでーたのーと

カンフェン

 分子式 C10H16
 分子量 136.2
 融点  51.5~52℃
 沸点  157.8℃/743mmHg
 比重  (液状)0.8486(測定温度50℃)
 屈折率 (n)1.4564
 引火点 40℃

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「カンフェン」の解説

カンフェン
カンフェン
camphene

C10H16(136.23).二環式モノテルペンの一つ.ショウガ科ガジュツCurcuma zedoariaの精油に含まれている(+)-カンフェンと,多くのクスノキ科植物の精油に含まれている(-)-カンフェン,および(±)-カンフェンが知られている.工業的には,塩化ボルニルアルカリで脱塩化水素化してつくる.(+)-カンフェンは,融点52 ℃,沸点158~160 ℃.+103.5°(エーテル).0.8486.1.4605.(±)-カンフェンは,融点51~52 ℃,沸点158~159 ℃.0.8422.1.4551.エーテル,クロロホルムシクロヘキサンに可溶,エタノールに難溶,水に不溶.昇華性がある.[CAS 79-92-5:(±)カンフェン]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カンフェン」の意味・わかりやすい解説

カンフェン
camphene

化学式 C10H16二重結合を1個もつ二環式モノテルペン。かすかなショウノウ様の香りのある結晶性の塊。融点 52℃。旋光性があり,それぞれ異性体スギの針葉油,マツ科植物の枝葉油などに含まれている。

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