日本大百科全書(ニッポニカ) 「カンフェン」の意味・わかりやすい解説
カンフェン
かんふぇん
camphene
天然に存在するモノテルペン系炭化水素であり、精油成分の炭化水素中で常温において結晶する唯一のものである。光学異性体があってd(+)体は樟脳(しょうのう)、レモンなどの精油成分、l(-)体はアビエス油、セイロンシトロネラ油などの成分、ラセミ体は多くの精油中に含まれている。市販品はすべて合成品で20%までのトリサイクレンを含有している。工業的にはα(アルファ)-ピネンを異性化して合成する。合成樟脳、殺虫剤、合成サンダルウッド系香料の製造原料として重要である。
[佐藤菊正]