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カーゴ・カルト cargo cult

翻訳|cargo cult

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

カーゴ・カルト
cargo cult

1920~30年代を中心に第2次世界大戦後までみられた,メラネシアにおける宗教的・社会的運動。土着主義運動などと呼ばれる運動の一つで,「積荷崇拝」とも訳される。預言者の「今日ヨーロッパ人の手にあるさまざまな財は本来島民のもので,近い将来先祖の霊がそれらの財 (カーゴ積荷) を汽船や飛行機に積んで戻り,われわれに至福の世をもたらしてくれる。そのとき世界の秩序は逆転し,現在の支配者であるヨーロッパ人に対してわれわれが優位に立つことができる」という言葉に基づいて,信徒たちは積荷を受入れるために大きな家や船,滑走路の模造物を作り,そのまわりで歌い踊る儀礼を行なった。代表的なものとしては,イギリス領パプアニューギニアで 1919~23年に起ったバイララ狂信などがある。これらの運動は,植民地化に伴うヨーロッパ文化との接触によって起る伝統文化の危機的状況を背景とし,またのちの自治権要求や独立の機運を促したともいえる。

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百科事典マイペディアの解説

カーゴ・カルト

1880年代以降,植民地状況下のニューギニアおよびメラネシア各地で起こった土着主義的宗教・社会運動。カーゴとは白人が汽船などでもたらす豊かな〈積荷〉,〈外来の物品〉をさす。神々に祈願することによって,カーゴはまもなく自分達のもとに確実に届けられ,至福の世界が到来するという預言に端を発することが多いことからこの名がある。この地域のナショナリズムの先行現象という評価もある。→土着主義運動千年王国
→関連項目メラネシア[人]

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

カーゴ・カルト
かーごかると
cargo cult

ニューギニアを中心とするメラネシアの各地で19世紀後半から現在まで、とくに第一次・第二次両世界大戦間に起きた一連の類似した宗教的社会運動の総称。カーゴとは積み荷を意味し、積み荷崇拝あるいは船荷崇拝とも訳される。ヨーロッパの荷物を満載した船(ときには飛行機)が現地住民の祖先とともに到来し、そのとき、いままでの白人優越の社会でない理想郷が実現するという信仰がこれらの運動の一般的特徴である。現地住民はカーゴの到来のために飛行場の建設、従来の社会制度の破壊、新しい町づくりなどをしたり、労働を放棄してひたすらカーゴを待ち続けたりした。このように理想郷の到来を目ざすことから、千年王国運動の一部として扱われることが多い。運動の指導者や予言者がかなりの政治的影響力をもつに至った場合もあり、現在でも形を変えて存続している例もある。これらの運動には、現地の伝統的世界観と、キリスト教の教義が同時にみられ、質的にも量的にも極端な差をもつ文化間の接触が重要な発生要因であるとされている。[豊田由貴夫]
『P・ワースレイ著、吉田正紀訳『千年王国と未開社会――メラネシアのカーゴ・カルト運動』(1981・紀伊國屋書店)』

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