ピジンイングリッシュ(読み)ぴじんいんぐりっしゅ(英語表記)pidgin English

翻訳|pidgin English

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ピジンイングリッシュ」の意味・わかりやすい解説

ピジンイングリッシュ
ぴじんいんぐりっしゅ
pidgin English

狭義には18~20世紀中国の沿岸地域で使用されていた、英語と中国語の混合言語をさす。これは、言語を異にする者同士が通商をするときの便宜のために発生したもので、文法が簡略化され、語彙(ごい)もきわめて限られている。ピジンとはビジネスbusinessがなまったものだといわれるが、ほかにも説がある。

 今日、一般には、言語接触から生じた混合言語で英語をベースbaseにしたものをすべてさす。ハワイの日系移民の独特な英語もピジンイングリッシュである。すなわち、言語のタイプの名称であって、特定の言語をさすのではない。この種の言語は通商など限られた場面でのみ使用され、母語とする話者はいない。しかし比較的安定した文法をもち、一時的な発話であるブロークンイングリッシュとは区別される。フランス語をベースにしたピジンフランス語pidgin Frenchなど、いろいろな言語のピジンが存在する。

桜井 隆]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ピジンイングリッシュ」の意味・わかりやすい解説

ピジン・イングリッシュ
pidgin English

主として通商のために用いられる,簡略化された文法と極度に制限された語彙をもつ英語。大航海時代以来,世界各地に生じ,現在もメラネシアや中国沿岸などで用いられる。英語の business (商売) が中国でなまって pidginになったといわれる。一般に上述の特徴をそなえ,しかも生得の自然言語になっていないものをピジン語という。なおピジン語がその社会母国語となった場合には,クレオル語と呼ばれる。 (→ピジン=クレオル語 )

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