ガスプロム(読み)がすぷろむ(英語表記)Газпром/Gazprom

デジタル大辞泉 「ガスプロム」の意味・読み・例文・類語

ガスプロム(Gazprom)

ロシア本社を置く世界最大の天然ガス会社。ロシア政府が筆頭株主で、ロシア大統領メドベージェフが就任前まで会長を務めるなど、半国営的企業。ロシアの天然ガス生産量の約85パーセントを占め、同国GDPの10パーセントに相当する収益を上げている。→サハリンツー

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガスプロム」の意味・わかりやすい解説

ガスプロム
がすぷろむ
Газпром/Gazprom

ロシアにある世界最大のガス会社。本社はモスクワ。ロシア政府が50%強の株式をもつ半官半民の企業で、ロシアの国内総生産(GDP)の1割前後を稼ぎ出している。ロシアのガスパイプラインを支配しており、生産したガスは国内だけでなくヨーロッパや旧ソ連圏諸国に販売している。前身は旧ソ連の石油ガス工業省で、1989年に同省から分離・発足し、1992年に共同出資会社になった。ウラルや西シベリアに保有するガス田は枯渇が懸念されるが、バレンツ海サハリンなどに鉱区をもち、天然ガスの長期安定供給が可能とみられている。

 世界的な資源高騰で、2008年にはガスプロムの時価総額が3400億ドルと世界3位にまで上昇。「21世紀に入って世界でもっとも成長した会社」とよばれ、内外のエネルギー会社や開発プロジェクトに出資、参加している。ロシアの元大統領メドベージェフは就任直後の2008年6月まで同社会長を務め、2001年社長に就任したアレクセイ・ミレルはロシア大統領を務めたプーチン片腕といわれるなど、政治との密接な関係をもつ。ウクライナとの天然ガス供給をめぐる紛争では、ガスプロムが同国向けガス供給を一時停止した。

 ガスプロムは企業グループを形成しており、ガスプロム銀行などの金融機関やポリプロピレン製造会社を傘下におき、通信ネットワークも所有している。2005年にはロシアの石油精製会社シブネフチを買収し、子会社とした(ガスプロムネフチと改名)。ガスプロムの2011年の売上高は4兆7358億ルーブル、純利益は6341億ルーブル。

[矢野 武]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ガスプロム」の意味・わかりやすい解説

ガスプロム
Gazprom

ロシアの天然ガス独占企業。天然ガス生産・供給では世界最大級。1989年にソビエト連邦のガス工業省と石油工業省が統合される際,ガス事業を引き継ぐ企業として設立され,1993年に株式会社化された。当初は市場経済への移行に伴い解体される予定であったが,2000年代にプーチン政権のもとでエネルギー産業の国家管理が強化され,2005年にガスプロム株式の 50%を政府保有とし,残りの 50%は売却された。パイプライン網を通じてヨーロッパおよび旧ソ連諸国に天然ガスを輸出しているが,ウクライナやベラルーシなどとの間で,ガス価格や料金不払い,パイプラインからのガス抜き取りをめぐってたびたび紛争が起こり,ロシアがガス供給を停止する事態が発生した。

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