ガマグチヨタカ(英語表記)frogmouth

改訂新版 世界大百科事典 「ガマグチヨタカ」の意味・わかりやすい解説

ガマグチヨタカ
frogmouth

ヨタカ目ガマグチヨタカ科Podargidaeに属する鳥の総称。この科には2属12種のヨタカに似た,かなり大型の鳥が含まれる。全長21~54cm。口は非常に大きく,口ひげはよく発達し,足は短く弱い。羽色は褐色ないし灰色で,不規則な濃淡の模様がある。インドからニューギニア,オーストラリアにかけて分布する。通常つがいで森林中にすみ,夜行性である。昼間は枝の上にとまって休息している。体をのばし,くちばしを斜め上にあげてじっとしていると,周囲の枝にまぎれて非常に見つけにくく,カムフラージュ好例の一つとされる。食物は主として甲虫やガなどの昆虫類,クモ,ムカデ,ミミズ,カタツムリカエルなどの小動物で,ときには小鳥ネズミも食べる。また,種によっては果物を好む。餌は,ヨタカのように飛びながら捕食するのではなく,じっと待っていておもに地上の動く獲物をねらう。巣は水平な枝のまたにつくり,あるものでは小枝を粗雑に組み合わせただけであるが,羽毛樹皮コケなどでていねいな巣をつくるものもいる。1腹の卵数は熱帯アジアの種では1個,オーストラリアの種では2個(まれに3~4個)。雌雄とも抱卵育雛(いくすう)に従事する。夜行性のため,その他の繁殖習性についてはよくわかっていない。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ガマグチヨタカ」の意味・わかりやすい解説

ガマグチヨタカ
Podargidae; frogmouths

ヨタカ目ガマグチヨタカ科の鳥の総称。16種からなり,全長 23~53cm。灰褐色赤褐色の地に白色や黒褐色の細かい斑模様がある。は非常に幅広く,扁平な三角形で,先端がかぎ状。森林にすみ,夜行性である。ほかのヨタカ類と違って空中では獲物をとらず,切り株や低い枝に留まり,地上に獲物(大型昆虫類,ムカデ,カエル,ネズミなどの小動物)を見つけると飛びかかって捕える。南アジアから東南アジアニューギニア島オーストラリアソロモン諸島にかけて分布する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガマグチヨタカ」の意味・わかりやすい解説

ガマグチヨタカ
がまぐちよたか / 蝦蟇口夜鷹

鳥綱ヨタカ目ガマグチヨタカ科に属する鳥の総称。同科Podargidaeには全部で12種いる。インド南部、スリランカ、タイ、マレーシア、フィリピン、ニューギニア、オーストラリアなどに分布する。全長20~50センチメートル、嘴(くちばし)は扁平(へんぺい)で先が鉤(かぎ)形をしており、付け根には剛毛が生えている。口が非常に大きいので、その名がついた。多くの種で、雌雄、年齢に関係のない赤褐色タイプと灰褐色タイプの2型がみられる。夜行性で、切り株や低い枝から地上にぱっと飛び降りて、昆虫やムカデやカエルなどをとって食べる。普通、森林内に雌雄2羽のつがいで暮らしている。巣は樹上の水平な枝のまたの部分につくり、皿形である。白い卵を1、2個産み、雌雄が交代で抱卵する。

[樋口広芳]

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