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キネティック・アート キネティック・アートKinetic art

翻訳|Kinetic art

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

キネティック・アート
Kinetic art

「動く芸術」ともいうべきもの。作品のなかに「動勢」を表現したり,オプティカル・アートのように視覚的な変化を表わそうとするものとは異なり,作品それ自体が動く,あるいは動く部分が組入れられている美術作品。したがって作品はほとんど彫刻の形をとる。こうした傾向は未来派ダダの芸術運動から派生してきたものであり,最初の作例は,M.デュシャンが 1913年に自転車の車輪を使って制作した『モビール』と題した彫刻であるとされている。 20年に N.ガボらが「現実主義宣言」において提唱したが,用語として定着したのは 1950年代である。以来このカテゴリーに入る彫刻作品は意識的に制作されて現代にいたっているが,有名なものに,A.コルダーの一群のモビールや J.ティンゲリーの機械彫刻などがある。

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百科事典マイペディアの解説

キネティック・アート

〈動く芸術〉を意味する言葉。1960年代に盛んになってきた作品群に使われた。コールダーの〈モビール〉のように空気や風を利用したものから,タキス〔1925-〕やティンゲリーのように電磁気やモーターを使ったものまで,広い意味で動く作品全般に使われることが多い。
→関連項目テクノロジー・アート

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

キネティック・アート
きねてぃっくあーと
kinetic art

動く彫刻など、現実に運動を伴う美術作品の総称。従来の彫刻の観念は、静止した作品のなかに構成力によって動勢を感じさせるものだったが、第一次世界大戦後、三次元の立体作品に現実の運動を導入して、四次元の時間性に基づく造形をつくりだそうとする試みが生まれた。モーターの電力を使用して立体造形を動かすマルセル・デュシャンの「回転ガラス板」、ナウム・ガボの「直立する波」(ともに1920)は先駆的な例であり、風力やわずかな空気の振動をとらえて抽象造形が運動の変化をみせるアレクサンダー・コルダーの「モビール」はよく知られている。第二次世界大戦後、パリのドニーズ・ルネ画廊で「運動」展が開かれたのを契機に、動く立体作品への関心は飛躍的に増大し、現代芸術の一領域を形成した。
 そのなかには、(1)風力や水力など自然の力を利用したもの(コルダー、ジョージ・リッキーGeorge Rickey(1907―2002)など)、(2)モーター仕掛けの電力によるもの(ジャン・ティンゲリー、ロバート・ブリアRobert Breer(1926― )など)のほか、(3)エレクトロニクスの技術を駆使したもの(ウェン・イン・ツァイWen Ying Tsai(1928― )など)、(4)運動する造形作品を光、音、映像の全体的環境のなかで総合しようとする試み(ニコラ・シェフェールNicolas Schfferなど)もある。
 一般には彫刻自体が現実に運動する例をさしてよぶが、広義には、レリーフ状の絵画で、観衆が移動することによって、その画面に運動の変化を生ずる特殊な作品(ヤーコブ・アガムYaacov Agam(1928― )、ラファエル・ソトJess Rafael Soto(1923―2005)など)を含めることもある。
 コンピュータの実用化に伴って、作品と観客が身体の動作や操作の働きかけによって、インタラクティブ(双方向的)な関係性を生み出す作品が増えていることがあげられる。また、その性格上、キネティック・アートは屋外のモニュメントや美術館内での設置作品という公共的性格をもつことが多いが、映像、アニメなどを使用した空間的なインスタレーションとして、ハイテク・アートの源流と考えることもできよう。[石崎浩一郎]
『エドワード・ルーシー・スミス著、岡田隆彦・水沢勉訳『現代美術の流れ――1945年以後の美術運動』(1986・PARCO出版) ▽荒垣さやこ著『アガム ユダヤ的美術のかたち』(1993・リトン) ▽ニコス・スタンゴス著、宝木範義訳『20世紀美術――フォーヴィスムからコンセプチュアル・アートまで』(1997・PARCO出版)』

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