キリスト論(読み)キリストろん(英語表記)Christologia

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

キリスト論
キリストろん
Christologia

イエス・キリストに関する神学的思索ないし神学理論をいい,すでに新約聖書において神の子,キリスト,主,ロゴスなどの呼称に関連してその萌芽がみられる。古代キリスト教の発展に伴って重大な神学論争の対象となり,正統教義の形成がなされるとともに,多くの異端説を生じるにいたった。狭義には組織 (または教理) 神学中,キリストの本質および行為を神学的思弁の対象とする部門で,キリスト教神学全体のかなめともいえる。本質についてはおもにキリストの神性人性との事実とそれらの関係が,行為についてはキリストの認識と愛と情感とそれらの価値が論じられ,前者は三位一体論,後者は救贖 (贖罪) 論と密接に関連する。現代では,教会論,宣教論との関連,「史的イエスと信仰のキリスト」論などに関心が集っている。

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百科事典マイペディアの解説

キリスト論【キリストろん】

イエス・キリストの本質をめぐる思弁で,三位一体論とともにキリスト教教義の根本。英語ではChristology。イエスの神性と人性のどちらに比重をかけるかで,〈ロゴス・キリスト論〉対〈仮現論(ドケティズム)〉,〈モナルキアニズム〉対〈様態論(モダリズム)〉,〈両性論〉対〈単性論〉などの対立を生じ,多くの論争が行われた。カルケドン信条カルケドン公会議,451年)で最終的決着をみた。すなわち,〈両性は混合せず,分離せず〉。

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世界大百科事典 第2版の解説

キリストろん【キリスト論 Christology】

三位一体論とともにキリスト教教義の中核をなすもの。古代教会において激しい論争があったが,その後も絶えずとらえ直されてきたのは,これが神学の根本構造にかかわっているからである。(1)原始教会では,イエスは最初比較的単純にユダヤ教の用語をもって〈キリスト〉(メシア=神によって油注がれて王となった者),〈神の子〉と呼ばれ,また世の終りに再び来て〈神の国〉を完成する者と信じられていた。しかしキリスト教がパレスティナを出てヘレニズム世界に入るとこのキリスト理解に変化が生じ,神秘宗教的にイエスを神的人間と見なし,〈キュリオスkyrios〉(主)と呼ぶようになった。

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世界大百科事典内のキリスト論の言及

【キリスト教】より

…ギリシア哲学の素養をつんだ知識人が改宗しだすと,当然,信条の内容を哲学的に解釈しようとした。そこで問題となったのが三位一体論とキリスト論で,前者に対する疑問はキリスト従属論として現れた。アリウスがその代表で,ニカエア公会議(325)はアリウスを異端としたが,この問題は4世紀の教会を計り知れぬ混乱に陥れ,最終的にはコンスタンティノープル公会議(381)で三位一体論が確定した(〈ニカエア・コンスタンティノポリス信条〉)。…

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