ギャスケル(その他表記)Elizabeth Cleghorn Gaskell

デジタル大辞泉 「ギャスケル」の意味・読み・例文・類語

ギャスケル(Elizabeth Cleghorn Gaskell)

[1810~1865]英国の女流小説家。人道主義的な立場から、社会問題世相ユーモアを交えて描いた。作「メアリー=バートン」「クランフォード」など。

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精選版 日本国語大辞典 「ギャスケル」の意味・読み・例文・類語

ギャスケル

  1. ( Elizabeth Cleghorn Gaskell エリザベス=クレグホーン━ ) イギリス女流作家。ユーモアとペーソスをもって社会問題をとらえ、細密心理描写で知られる。代表作「メアリ=バートン」「クランフォード」など。(一八一〇‐六五

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改訂新版 世界大百科事典 「ギャスケル」の意味・わかりやすい解説

ギャスケル
Elizabeth Cleghorn Gaskell
生没年:1810-65

イギリスの女流小説家。ユニテリアン派牧師ウィリアム・スティーブンソンの娘として生まれたが,すぐに母を失い,イングランド中部チェシャー州の小さな町ナッツフォードの伯母の家で育てられた。平穏で人情の温かいこの田舎町は,後に彼女の手で短編連作《クランフォード》(1853,邦訳《女だけの町》)として世界中に紹介された。1832年マンチェスター市のユニテリアン派教会副牧師ウィリアム・ギャスケルと結婚,以後同市の貧民の悲惨な生活に接し,その現状や当時工場労働者の間で高まりつつあったチャーチスト運動を小説《メアリー・バートン》(1848)で発表,一躍注目を浴びた。彼女は〈社会小説家〉と評されたが,その本領は家庭生活・風俗を19世紀社会を背景としてリアルに描いたところにある。ほかに《北と南》(1855),《シャーロット・ブロンテ伝》(1857)などがある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ギャスケル」の意味・わかりやすい解説

ギャスケル
ぎゃすける
Elizabeth Cleghorn Gaskell
(1810―1865)

イギリスの女流小説家。ユニテリアン派の牧師を父としてロンドンに生まれる。幼くして母を失い、田舎(いなか)の小さな町ナッツフォードに住む伯母に養われて、平和な少女時代を過ごした。1832年に父と同じ派の牧師と結婚、任地のマンチェスターに住み、長編『メアリー・バートン』(1848)を書いて一躍作家として名をあげた。その後故郷ナッツフォードをモデルに善意とユーモアを盛り込んだ中編『クランフォード』(1853/邦訳名『女だけの町』)、『シャーロット・ブロンテ伝』(1857)などの代表作を書いたが、65年『妻と娘』完成間近で急逝した。19世紀の社会問題や世相を、いかにも牧師の娘、妻らしく人間と宗教への信頼を失うことなく描いている。

[小池 滋]

『小池滋訳『世界文学全集14 女だけの町』(1967・筑摩書房)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ギャスケル」の意味・わかりやすい解説

ギャスケル
Gaskell, Elizabeth Cleghorn

[生]1810.9.29. ロンドン
[没]1865.11.12. ハンプシャー,オールトン
イギリスの女流作家。息子をチフスで失った悲しみをまぎらすため,小説を書きはじめた。処女作『メアリー・バートン』 Mary Barton (1848) や『北と南』 North and South (54~55) は,労働者の悲惨な生活についてのつぶさな見聞を生かして,工業都市における労資の衝突を扱っている。これらの小説の傾向とは別の一面は,小さな田舎町の女性の生活を描いた『クランフォード』 Cranford (53) や,些細な家庭内の問題を扱った『妻たち娘たち』 Wives and Daughters (64~66) などの静かな物語にみられる。『シャーロット・ブロンテ伝』 Life of Charlotte Brontë (57) も,伝記文学の名作とされている。

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百科事典マイペディア 「ギャスケル」の意味・わかりやすい解説

ギャスケル

英国の女性作家。牧師の娘および妻としておだやかな一生を送ったが,当時の社会不安を取り上げた小説《メアリー・バートン》や《北と南》を書く。《クランフォード》(1853年,邦訳《女だけの町》)は田舎町の生活描写で有名。ほかに伝記《シャーロット・ブロンテの生涯》(1857年)。

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