クスノキ(読み)くすのき(英語表記)camphor tree

翻訳|camphor tree

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

クスノキ
くすのき / 樟
camphor tree
[学] Cinnamomum camphora (L.) J.Presl

クスノキ科(APG分類:クスノキ科)の常緑高木。高さ20メートルに達し、樹皮は暗灰褐色、若枝は緑色。葉は互生し、薄いがじょうぶで、卵形ないし楕円(だえん)形、長さ6~10センチメートル、全縁で光沢があり、主脈と2本の側脈が目だつ。葉を裂くと樟脳(しょうのう)の香りがする。花は5~6月、本年枝の葉腋(ようえき)から伸びた円錐(えんすい)花序につき、淡黄緑色。果実は球形の液果で、10~11月に黒く熟す。山野に生え、関東地方以西の本州、四国、九州、済州島、中国、ベトナムに分布する。成長がよく長命で、公害に強いため各地に栽培される。材と葉に含まれる樟脳はおもにセルロイド製造原料とされるほか、防虫剤や薬用とされてきた。材自体に防虫効果があり、古くから和風建築や船舶などの内装材として賞用され、仏壇、楽器、玩具(がんぐ)、家具、木魚などにも利用する。クスノキ属は共通して枝葉に芳香があり、アジア東・南部、メラネシア、オーストラリアに約250種が分布する。

[門田裕一 2018年8月21日]

文化史

日本の照葉樹林の主要構成樹種で、『魏志倭人伝(ぎしわじんでん)』には日本の産木として、(だん)の名で最初に取り上げられている。『日本書紀』には櫲樟(よしょう)の名が船材として載るが、これにはクスノキ以外にタブノキだとする説もある。一般には漢名の樟も楠もクスノキとされるが、『大和本草(やまとほんぞう)』(1709)では、香りが強いのを樟(クスノキ)、弱いのを楠(イヌグス)として区別している。また中国では、楠はタブノキやそれと近縁のタイワンイヌグス属Phoebeの類のことをいう。

[湯浅浩史 2018年8月21日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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