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クセノフォン Xenophōn

翻訳|Xenophōn

百科事典マイペディアの解説

クセノフォン

アテナイの軍人,歴史家。1万のギリシア傭兵(ようへい)を率いてペルシア王子キュロスの遠征に加わったが,途中キュロスが死ぬや苦難をなめつつ祖国に帰った。これが彼の《アナバシス》の有名な1万人の退却で,メソポタミアから黒海,ギリシアへの長大な旅程を,敵や自然の猛威に苦しめられつつ逃避行する有様が如実に語られている。
→関連項目アルタクセルクセス[2世]回想録ギリシア語伝記

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世界大百科事典 第2版の解説

クセノフォン【Xenophōn】

前426ころ‐前355ころ
古代ギリシアの軍人,歴史家。アテナイの上層階級に生まれ,体育,騎馬,狩猟,軍事,修辞弁論などの優れた教育を享受し,とくにソクラテスを師と仰いでいた。ペロポネソス戦争終了後,テーバイ人の旧友の誘いに応じてペルシア王子キュロス(小キュロス)の軍に一私人として参加した。クナクサの会戦(前401)においてキュロス王子が戦死した後,ギリシア人傭兵(重装兵約1万名)の頭目に選ばれ,厳冬のアルメニア山中の退却行軍を指揮したが,その目撃体験談は自身の筆になる《アナバシス》に詳述されている。

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大辞林 第三版の解説

クセノフォン【Xenophōn】

前426頃~前355頃) 古代ギリシャの著作家・軍人。ソクラテスの弟子。平明・率直な文体で書を綴り、戦記「アナバシス」、ギリシャ史「ヘレニカ」のほか「ソクラテスの思い出」などが現存。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

クセノフォン
Xenophōn

[生]前430頃.アテネ
[没]前355頃.コリントス
ギリシアの軍人,歴史家。ソクラテスの弟子。ギリシア傭兵軍に加わってペルシアの内乱に参戦,指揮官を失ったときに,彼が指導者に選ばれて1万人のギリシア軍をバビロンに近い砂漠のなかから黒海南岸まで退却させた功績は,自著『アナバシス』 Anabasisに詳しい。その後スパルタに味方して祖国を追放され,オリンピアに近い田舎に住み,再び追われてコリントスに移住した。主作品はほかに,『ヘレニカ』 Hellēnika,『ソクラテスの弁明』 Apologiā Sōkratūs,『ソクラテスの思い出』 Apomnēmoneumata,『饗宴』 Symposion,『家政論』 Oikonomikos,『キュロスの教育』 Kȳrūpaideiāなど。その文体は古典期ギリシア散文の典範とされる。

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世界大百科事典内のクセノフォンの言及

【アウトゥールゴイ】より

…主として農耕・牧畜に従事する独立自営の農民について用いられた。前4世紀アテナイの著述家クセノフォンは,《家政論》のなかで,農業に従事する人々をアウトゥールゴイと〈監督によって農業を行う者〉に分類しているが,前者が家族および少数の奴隷とともに自ら労働したのに対して,後者は自ら働くことなく多数の奴隷を使役して農業を行わせた。前7世紀初頭にまとめられた叙事詩人ヘシオドスの《農と暦(仕事と日々)》のなかには,アウトゥールゴイの姿がすでに明確に描き出されている。…

【アナバシス】より

クセノフォン作の散文。アケメネス朝ペルシアにおける王位継承争いに敗れ反乱を起こした小キュロスに,約1万人のギリシア人が傭兵として参集した(前401)。…

【回想録】より

…自伝の一種とみなすこともできるが,常識的な区別として,語り手の私生活や内面的反応に重点をおくのが自伝,公的な経歴,とくに歴史的な事件や人物を中心とするものが回想録といえる。このジャンルの原型をなすものに,古代ギリシアのクセノフォンの2著,《アナバシス》と《ソクラテスの思い出》があげられる。著者自身,ギリシア人の傭兵と共にペルシアの王子キュロスの王位争いの戦いに参加,キュロスがあえなく戦死した後,ギリシア兵をまとめて長途の退却,帰国を苦難のうちにやりとげた体験記が前者で,後者は題名のとおり,回想風なソクラテス伝である。…

【ギリシア文学】より

…喜劇も政治情勢の激変を鋭敏に反映して,それまでの自由な政治風刺や個人攻撃の矛を収める。中にはクセノフォンのように他国に亡命しながらも,追憶談義や冒険旅行記,伝記や歴史小説のごとき新しい文芸ジャンルの開拓に足跡を残したものもいる。またソクラテスの弟子プラトンのように,現実の社会と政治には携わらず,前5世紀のアテナイ文化に対して容赦ない道徳的批判を浴びせ,ついに詩人追放論を公にするものが現れたのも,この時代の極端な一つの反動的動きを示している。…

【ソクラテスの思い出】より

クセノフォン作のソクラテス回想録。4巻から成り,2巻までは前399年死刑になったソクラテスを弁護し,宣告を下したアテナイ人たちを非難することを主題としている。…

【馬術】より

…古代オリンピックの種目として前680年に4頭立戦車競走が,前648年に競馬競走が加えられ,スポーツとしての馬術が始まった。前4世紀のクセノフォンには騎馬術や馬の調教法の著作があり,彼はこのため〈馬術の始祖〉とされている。ローマ時代を経て,5世紀にはヨーロッパでも蹄鉄(ていてつ)の使用が始まり,馬術はますます盛んになった。…

※「クセノフォン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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