日本大百科全書(ニッポニカ) 「クマロン」の意味・わかりやすい解説
クマロン
くまろん
cumarone
環内に酸素原子を含む複素環式化合物の一つ。ベンゾフランの別名をもつ。コールタールの軽油留分に少量含まれている。
フェノキシアセトアルデヒドを塩化亜鉛の存在下で環化させると得られる。無色の芳香をもつ液体で、水には溶けないが種々の有機溶媒に溶ける。クマロンおよびインデンを含有するタール留分を精製して重合させると、クマロン樹脂あるいはクマロンインデン樹脂とよばれる熱可塑性の合成樹脂が得られる。これは塗料、印刷インキなどの製造に用いられる。
[廣田 穰]