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クライシュ族 クライシュゾク

世界大百科事典 第2版の解説

クライシュぞく【クライシュ族 Quraysh】

イスラム勃興期,メッカに住んでいたアラブ部族。北アラブ系のキナーナ部族の支族で,預言者ムハンマドを生み,彼の11代前の祖先クライシュを共通の祖先としていた人々。5代前の祖クサイイがカーバの管理権を奪い,近親者をメッカに定着させてから部族としてのまとまりをもつようになる。3代前の祖ハーシムHāshim(生没年不詳)の時代に遠隔地隊商貿易の組織化に成功し,祖父の時代に南アラビア軍の攻撃からメッカの聖域を守り,以後急速に発展する。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

世界大百科事典内のクライシュ族の言及

【アラビア半島】より

…生活のよりどころを失った南アラブの一部は,遊牧民となって北方への移住を余儀なくされ,半島全体で遊牧生活が支配的となり,南アラブは北アラブの文化的影響に屈する結果となった。 イエメン,ヒジャーズ,それに半島東部の海岸地帯にはいくつかの都市とオアシス集落があったが,特に5世紀の末に北アラブのクライシュ族の住みついたメッカは,多神教の神殿カーバを擁し,定期市と結びついた巡礼の対象としての東方の聖地を保護していただけでなく,6世紀半ばの少し前,イエメン,シリア,イラク,アビシニアへの遠隔地通商を開始し,アラビア半島で最も栄えた町となっていた。
[イスラム時代]
 イスラムを創唱した預言者ムハンマドは,メディナへのヒジュラ(移住,622年)のあと半島各地のアラブ遊牧民の小集団,辺境地帯の小君主,それにユダヤ教徒,キリスト教徒の集団と個別に盟約を結び,前2者にはイスラムの信仰とザカート(救貧税)の支払を課し,後2者には信仰の維持を認めたがジズヤ(人頭税)の支払を強制した。…

【アラブ】より

…シャイフは集団の成年男子全員の集会マジュリスで選ばれ,シャイフは重大な決定をなすに当たっては,マジュリスの意見を徴するのを常とした。定住民のクライシュ族の場合,そのメッカ征服と定住の際には部族全体の族長があったが,その後は族長はなく,各氏族がそれぞれ家長(クライシュ族の場合は特に家長という)とマジュリスを持ち,部族全体の利害にかかわる重大事の決定に際しては,各氏族の有力者からなる集会マラーが開かれた。
[イスラムとアラブ]
 コーランにはアラブという語そのものは見えないが,異人の言葉アジャミー‘ajamīに対して,北アラブ,南アラブ,定住民,遊牧民を通じての共通語であるアラビー‘arabīという語が見え,ムハンマドは言語を媒介としながら,一つの民族としてのアラブという観念を表明した最初の人となった。…

【家】より

… イスラム勃興期のアラブ社会に関する歴史史料では,家族から部族までの血縁集団は,すべて特定の祖先の名を採って〈某の子孫(バヌー)〉と呼ばれている。預言者ムハンマドの場合,彼は3代前の祖の名を採ったバヌー・ハーシム(ハーシム家)の一員であり,そのバヌー・ハーシムは,ハーシムの8代前の祖,ムハンマドから数えて11代前の祖であるクライシュの名を採ったバヌー・クライシュ(クライシュ族)の一部である。このバヌー何某という集団の構成員は,原理的には,その某の男系の子孫と彼らの妻・娘だけである。…

【ヒジャーズ】より

…ヒジャーズ北方は,アラビア半島南部とアフリカ,インド方面と地中海方面の中間に位置するため,古来,中継貿易が行われ,この地を介してユダヤ教,キリスト教が伝えられた。中継貿易に従事していたクライシュ族出身のムハンマドが,ユダヤ教,キリスト教の教義を取り入れて一神教イスラムを唱え,クライシュ族の言葉がコーランを通じてアラビア語の基本となった。外界との接触の多かった住民は,コスモポリタン的性格をもち,内陸部とは異なる気風が育った。…

【ムハンマド】より

…カーバはアブラハムが建設したと信じられており,多くの神々の像が祀られていたが,神殿の〈主〉はアッラーであるとされていた。ムハンマドは当時のメッカの住民,クライシュ族のハーシム家に生まれた(図)。クライシュ族はムハンマドの5代前にメッカに定着し,3代前の時代から隊商を組織する国際商人に成長していた。…

【メッカ】より

…その真偽はともあれ,メッカは7世紀のムハンマドの時代の人々にとっても伝説的な大昔からの聖地であり,それは古代南アラビア文明の影響下にあったことは事実である。 ムハンマドの5代前の祖クサイイは,南アラブ系のカーバ守護者集団を追ってメッカの支配者となり(5世紀末ころ),自分の近親者であるクライシュ族の人々をメッカに集めた。以後メッカはクライシュ族の町となる。…

※「クライシュ族」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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