クラスノヤルスク(読み)くらすのやるすく(英語表記)Красноярск/Krasnoyarsk

デジタル大辞泉 「クラスノヤルスク」の意味・読み・例文・類語

クラスノヤルスク(Krasnoyarsk/Красноярск)

ロシア連邦中部、シベリア中南部の工業都市。旧称クラスヌイヤル。エニセイ川上流にあり、水陸の交通の要地。17世紀に築かれた砦に起源し、金鉱脈の発見とシベリア鉄道の敷設により発展。帝政ロシア時代は政治犯の流刑地だった。1997年の日ロ首脳会談において北方領土に関するクラスノヤルスク合意が交わされたことでも知られる。人口、行政区94万(2008)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クラスノヤルスク」の意味・わかりやすい解説

クラスノヤルスク
くらすのやるすく
Красноярск/Krasnoyarsk

ロシア連邦中部、クラスノヤルスク地方の行政中心都市。エニセイ川の両岸にわたり、左の支流カチャ川が合流する地点に位置し、同川とシベリア鉄道との交点にある水陸空の交通の要地。人口87万7800(1999)。機械製造(起重機採金用機、林業用機、農機、テレビ受像機)、金属(製鋼アルミニウム精錬)、金属加工(大企業「シベリア重機」工場、穀物刈入れ用コンバイン製造など)、造船、化学(繊維、合成ゴム、ゴムタイヤ)、製材パルプ製紙と絹の両コンビナート、建設資材などの工業がある。ロシア科学アカデミー・シベリア支部の研究所(物理学、林業・木材)、総合大学、単科諸大学(非鉄金属、工業技術、農業、教育、医学)、劇場、博物館などがあって、教育、文化の中心地でもある。

 市街の古い中心部はエニセイ川左岸の高い段丘上にあり、右岸は低くて新しい工場と高層住宅地域で、両岸は長さ2100メートルの橋で連絡する。市の南東郊外の「ストルビ」禁猟区は奇形の岩峰が多い観光地。市の上流約40キロメートルのエニセイ川には、クラスノヤルスク水力発電所(1971年計画出力に達し、72年工業利用認可、出力600万キロワット)がある。市の起源は1628年建設のクラスヌイ柵(さく)(砦(とりで))で、のちにクラスヌイ・ヤルと改称した。金の採取業で発達し、シベリア鉄道の建設(1895)以後急速に成長した。帝政時代は政治犯の流刑地。1917年の大革命と同時にソビエト政権が樹立され、その後一時的に反革命軍に占拠されたが、20年初めに再興された。

[三上正利・上野俊彦]

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改訂新版 世界大百科事典 「クラスノヤルスク」の意味・わかりやすい解説

クラスノヤルスク
Krasnoyarsk

ロシア連邦中部のクラスノヤルスク地方(240万1600km2,人口304万8000,1993)の中心都市。人口91万7195(2004)。エニセイ川中流に臨む。1628年,軍の哨所として建設され,最初クラスヌイ・ヤールKrasnyi Yar(赤い断崖)と呼ばれた。1735年モスクワ街道が通じるようになり,その後金の採掘とシベリア鉄道の建設(1895年この町を通る)にともなって急速に成長した。19世紀には政治犯の流刑地として知られ,デカブリストやレーニンもこの町に流された。ロシア革命後ただちにソビエト政権が成立したが,1918年6月から20年1月まではチェコ軍団と白衛軍によって占領されるところとなった。ソビエト政権の下で,クラスノヤルスクは東シベリア最大の工業・文化都市となり,第2次大戦以前すでに機械製造,造船,採金などの工場が建設された。大戦中はヨーロッパ・ロシアから機関車や農業機械の製造工場がこの町に疎開した。戦後は東シベリアの工業の中心に発展し,機械製造(コンバインなど),化学(合成ゴムなど),冶金(アルミニウムなど)工業が盛んである。町は古くからの左岸と新しい右岸に分かれ,その間のエニセイ川を渡る2km以上の橋がかかっている。また近くには巨大なクラスノヤルスク水力発電所(出力600万kW。1971完成)がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クラスノヤルスク」の意味・わかりやすい解説

クラスノヤルスク
Krasnoyarsk

ロシア中東部,東シベリア,クラスノヤルスク地方の行政中心地。シベリア横断鉄道がエニセイ川を渡河する地点に位置する河港都市。シベリアのロシア人集落としては最も古い町の一つで,1628年エニセイ川左岸に要塞が築かれたことに始る。 1735年シベリア大道の開通,19世紀この地域での金鉱の発見,1890年代シベリア鉄道敷設などにより次第に発展,さらに第2次世界大戦中,西からの工場疎開により工業も発達した。市域は右岸にも広がり,多くの工場がここに立地し,シベリアにおける主要工業地帯の一つを形成している。主要工業は機械 (クレーン,コンバイン,ブルドーザ,テレビ,冷蔵庫) ,造船,化学 (化繊,合成ゴム) ,アルミニウム精錬,製材,パルプ・製紙,食品など。市内にはクラスノヤルスク大学 (1969) をはじめ,林業,工科,医科の各大学や各種研究所があり,画家 V.I.スリコフの家が美術館として保存されている。水陸交通の要地であるとともに,国際空港があって各地と連絡。市の上流のエニセイ川には世界最大級の水力発電所が建設されている。また市周辺の右岸に,ストルブイ自然保護区が設置されている。人口 97万3891(2010)。

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百科事典マイペディア 「クラスノヤルスク」の意味・わかりやすい解説

クラスノヤルスク

ロシア共和国,東部シベリアの都市。エニセイ川とシベリア鉄道の交点にあり,河港,空港がある。機械・造船・製材・化学・製紙工業が行われる。付近にストルビ国立公園がある。市の南方エニセイ川上流にクラスノヤルスク・ダム(貯水量10億m3)が建設され,出力600万kWの発電所が造られた。市は1628年創設,エニセイ川流域の金産地の中心であった。19世紀は政治犯の流刑地で,レーニンもこの地に流刑された。95万5134人(2009)。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「クラスノヤルスク」の解説

クラスノヤルスク
Krasnoiarsk

シベリアの都市。シベリア鉄道の沿線にあり,イェニセイ川の岸にある。レーニンなど政治犯の流刑地として有名。ソ連時代には工業都市としてシベリア開発の一大基地となった。

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