翻訳|cream
牛乳からとった食用のクリームと化粧品のクリームがある。語源は,キリスト教で洗礼の儀式に使う聖油や聖膏を意味するラテン語chrismaにちなむ。
牛乳の脂肪は微細な脂肪球の形で分散している。この脂肪分を集めた黄白色の液体がクリームである。脂肪は比重が軽いので牛乳を静置しておいても浮上し,クリーム層ができる。しかし静置法は時間がかかり,脂肪の分離も不完全なので,現在は遠心力を利用したクリームセパレーター(クリーム分離機)が用いられている。クリームはバター,アイスクリーム,洋菓子の原料になるほか,コーヒーや料理に用いられる。規格上は乳脂肪18.0%以上と定められていて,以下のような各種のクリームが製造されている。なお市販のクリームはすべて殺菌処理がなされており,生クリームというのは俗称である。(1)コーヒークリーム 乳脂肪分18~20%の製品で,テーブルクリームともいわれる。コーヒーや料理用である。(2)ホイップクリーム 乳脂肪分40~45%の高脂肪製品である。ホイップ(泡立て)用で,洋菓子の製造に用いられる。(3)サワークリーム 乳脂肪分約20%のクリームを乳酸菌により発酵させた製品である。ホイップしたクリームのような性状で,やや酸味があり,ロシア料理で多く使われる。(4)クリームパウダー クリームを噴霧乾燥して粉末状とした製品で,規格上は乳固形分95.0%以上(うち乳脂肪分50.0%以上),水分5.0%以下となっている。これらの各クリーム製品と外観,性状が類似のもので,乳脂肪の一部または全部を植物性脂肪で置換した製品が市販されている。
執筆者:吉野 梅夫
ホイップしたクリームには,砂糖を加えて甘くしたクレームシャンティイーと,甘みをつけないクレームフェッテがあり,後者はババロアやパフェに用いられる。クレームシャンティイーは,でき上がり1カップとして生クリーム180mlを乾いたボールに入れ,ボールごと氷で冷やしながら泡立て,かるく泡立ったところでふるいを通した砂糖40~60gを入れ,さらにクリームの先が立つくらいまで泡立ててから用いる。なお,カスタードクリームは牛乳,鶏卵,砂糖,小麦粉などを合わせたもので,シュークリームやクリームパンに用いる。
執筆者:小室 康
油性成分と水性成分を混ぜて乳化させたもの。人間の皮膚は通常皮脂腺から皮脂が,汗腺から汗が分泌され,皮膚表面で乳化して皮脂膜をつくり保護しているが,角質老廃物やほこりなどといっしょになった汚れた皮脂膜は洗顔で落としてしまうので,一時的に皮脂膜の代りに肌を保護するためと,寒気や風,健康状態などによって皮脂膜のできにくいとき,肌荒れを防ぎ肌にうるおいを与えるために用いる。一般的にはコールドクリームcold creamタイプと,バニシングクリームvanishing creamタイプとに分けられ,前者は油成分を水成分中に微細に分散乳化したものでo/w型(油性クリーム)と呼び,後者は逆に水成分を油成分中に分散乳化したものでw/o型(中油性・弱油性クリーム)と呼ぶ。コールドクリームはローマ皇帝マルクス・アウレリウスの侍医として有名だったガレノスの創製したガレノス蠟膏がもとといわれている。これはステアリン酸などの油成分に,蜜蠟とホウ(硼)砂によってできる乳化剤を使ったもので,化粧品としてつくられるようになったのは18世紀に入ってからである。肌につけた感じからコールド(つめたい)と名付けられたという。化粧クリームとして代表的なもので,クレンジングクリーム,マッサージクリーム,栄養クリームなどがあり,それぞれ用途によって成分を加減してある。バニシングクリームは20世紀に入ってからつくられたもので,ステアリン酸とカリセッケンを乳化剤としたクリームで,肌につけてこすると最初白くなるが,引き続きこすっていると白さが消える。つまり消える(vanish)というところから名付けられた。日本にクリームが入ってきたのは1886年ごろからである。それまではクリームの代りに,米ぬかを布袋に入れたぬか袋が使われていた。1909年以降,国産のクリームが量産されるようになり,需要も種類もふえていった。第2次大戦後は乳化剤の発達によりw/o/w型のような多相エマルジョンや油成分の少ない乳液,顔料成分を配合したファンデーション類など,安定性の高いものがつくられるようになった。
→化粧品
執筆者:高橋 雅夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…習慣づけられたのか,自発的に縦列に並ぶヤギの例もトルコにある。 乳の加工技術は一見,道具やいくつかの手法の組合せで,多様にみえるが,基本的には,(1)乳酸発酵させて,凝乳化させる酸凝乳技術系,(2)子の第四胃からとった凝固剤を入れて,凝乳化させる酵素凝乳技術系,(3)放置して浮上したクリームを分離し,のちに攪拌(かくはん)してバターを分離するクリーム分離技術系とに分けられる。(1)はヨーグルト,(2)はチーズ,(3)はクリームによって代表される。…
…(2)ブルース・ロックblues rock 1960年代なかば,イギリス,アメリカ両方で,本来は黒人音楽だったブルースを,好んで演奏する白人ギタリストが人気を集めた。イギリスのエリック・クラプトンEric Clapton(1945‐ )がその好例で,彼を中心にした3人組クリームThe Creamは,わずか2年の活動ののち68年に解散したが,イギリスのロック史に不滅の足跡を残した。同じころアメリカで人気の高かったブルース・ロックのバンドに,ポール・バタフィールド・ブルース・バンドThe Paul Butterfield Blues Bandがあった。…
※「クリーム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
世界各地で古くから行われている遊戯の一つ。日本では,小豆,米,じゅず玉などを小袋に詰め,5~7個の袋を組として,これらを連続して空中に投げ上げ,落さないように両手または片手で取りさばき,投げ玉の数や継...
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