クルス(読み)くるす(その他表記)San Juan de la Cruz

デジタル大辞泉 「クルス」の意味・読み・例文・類語

クルス(〈ポルトガル〉cruz)

十字十字架。十字架像。

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精選版 日本国語大辞典 「クルス」の意味・読み・例文・類語

クルス

  1. 〘 名詞 〙 ( [ポルトガル語] cruz )
  2. キリスト教の)十字架。十字。
    1. [初出の実例]「我等が身代りとして、くるすの上に死し給ひ」(出典:ぎやどぺかどる(1599)上)
  3. 十字架をかたどった紋章。十字クルス、中川クルスなどがある。
    1. 十字クルス@中川クルス
      十字クルス@中川クルス

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「クルス」の意味・わかりやすい解説

クルス(San Juan de la Cruz)
くるす
San Juan de la Cruz
(1542―1591)

スペインキリスト教神秘家、詩人、聖人。通常「十字架の聖ヨハネ(サン・フアン・デ・ラ・クルス)」の名で知られる。マドリードの北西アビラ県フォンティベロス出身。洗礼名はフアン・デ・イエペスJuan de Yepes。サラマンカ大学で学ぶ。1563年、21歳のときカルメル会に入って聖職の道を歩むが、自ら積極的に進めた同修道会刷新運動がもとで逮捕され、約8か月後に決死的な脱獄を果たし、執筆活動と宗教活動を続ける。神との一致という主題をみごとな隠喩(いんゆ)を駆使して甘美な恋愛詩に仕上げた代表作『聖霊頌歌(せいれいしょうか)』(1584)は、近代の詩人たちへの影響が大きい。また神学的知識を背景とした散文作品は、自らの詩の注解、神秘体験の分析的説明になっている。1585~87年アンダルシアの管区長となったが、91年12月14日、同地方ウベタの修道院で死去。

[清水憲男]

『芳賀徹訳「聖霊頌歌」(『世界名詩集大成14』所収・1962・平凡社)』『東京女子跣足カルメル会訳『霊の賛歌』(1963・ドン・ボスコ社)』『東京女子跣足カルメル会訳『十字架の聖ヨハネ小品集』(1960・ドン・ボスコ社)』『奥野一郎訳『カルメル山登攀』(1980・ドン・ボスコ社)』


クルス(Ramón de la Cruz)
くるす
Ramón de la Cruz
(1731―1794)

スペインの笑劇作家サイネテーロ)。マドリード出身、同地で没。笑劇(サイネテ)や軽喜歌劇(サルスエラ)など、純スペイン的小劇(ヘネロ・チコ)に活力を与えた功労者。外国劇の翻訳やバロック劇の改作を試みているうちに、幕間狂言エントレメス)や笑劇など短い作品を書くようになり、その数は400を超える。『聖イシドロの野原』『おかんむりの栗売女(くりうりおんな)』『ともしびのファンダンゴ』などにみられるように、僧侶(そうりょ)、洒落者(しゃれもの)、伊達女(だておんな)、下町っ子など、さまざまな人物を登場させて民衆の生活を色鮮やかにとらえ、冗談、誇張、通俗語などを交えた生気のある用語でマドリードの風俗を風刺的に活写している。

[菅 愛子]

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改訂新版 世界大百科事典 「クルス」の意味・わかりやすい解説

クルス
Ramón de la Cruz Cano y Olmedilla
生没年:1731-94

スペインの劇作家。ルエダのパーソpasoやセルバンテスのエントレメスentremésなどの流れをくむ短い笑劇サイネーテsaineteの作者として成功,約400の作品がある。当時の民衆の生活や風俗の描写にすぐれている点では,同時代人の画家ゴヤの作品と並び高く評価され,特に,18世紀後半のマドリードを知るうえでの資料としての価値が大きいとされるが,文学的な評価は高くない。このサイネーテは,新古典主義者たちからは卑俗であるとして強い非難をあびたが,新古典主義が〈黄金世紀〉の国民演劇を否定しフランス風の演劇を導入しようとしたのに対し,伝統的な民衆劇であったことに意味があり,また,それゆえに民衆の大きな支持を得たといえる。しかし,親フランス派の政権下にあってはフランスやイタリアなどの戯曲の翻訳に従事せざるをえなかった。
執筆者:


クルス
Juana Inés de la Cruz
生没年:1651-95

メキシコ修道女で,南・北アメリカで最初の傑出した詩人と評される。8歳で最初の詩を書き,18歳でカルメル会に入り,以後24年間約4000冊の蔵書とさまざまな実験器具に囲まれての,修道女としてはきわめて特異な環境の中で神学や哲学に題材を得た作品を書いた。またその博識は,副王や司教からも助言を求められるほどであった。1693年に私財いっさいを売り払って貧民の救済に当て,最後は疫病患者の看護に従事しながら自らも罹病して死去した。
執筆者:


クルス
Osvaldo Cruz
生没年:1872-1917

ブラジルの細菌学者。医者の家庭に生まれ,1892年リオ・デ・ジャネイロの医科大学を卒業し,96年から99年までパリ,パストゥール研究所などで学んだ。帰国当時リオには黄熱病が蔓延していた。1900年に同年開設された血清およびワクチンの実験的研究所(現在のO. クルス研究所)に入所し,02年所長。同時にリオの公衆衛生局局長に任命,リオの黄熱病撲滅に取り組み07年目的を達した。
執筆者:

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百科事典マイペディア 「クルス」の意味・わかりやすい解説

クルス

植民期メキシコの修道女。女官として副王夫妻に仕えた後,修道生活に入る。幼少の頃から文学にめざめ,ゴンゴラおよびカルデロン・デ・ラ・バルカの影響の下,極めて技巧的・理知的な作品を残した。代表作に,飽くなき知的探求心と人知の限界を誇飾主義的手法を駆使して歌いあげた長編詩《夢》,キリストと人類の関係を寓意的に描いた聖体劇《神聖なるナルキッソス》などがある。詩人としての評価が高いが,神学や女権に関する優れた論考もある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クルス」の意味・わかりやすい解説

クルス
Cruz, Agostinho da

[生]1540. ポンテダバルカ
[没]1619. セトゥバル
ポルトガルの詩人。本名 Agostinho Pimenta。詩人 D.ベルナルデスの弟。 20歳のときにカプチン修道会に入り,40年間をシントラのサンタ・クルス・ダ・セーラ修道院で過し,65歳のときにアラービダの隠者生活に入り,さらに 14年を経てこの世を去った。当時の代表的詩人の一人で,禁欲的神秘的な抒情詩を残した。その作品集は 1918年に刊行された。

クルス
Cruz, Sor Juana Inés de la

[生]1651.11.12. サンミゲルネパントラ
[没]1695.4.17. サンヘロニモ
植民地時代のメキシコの女流詩人。「詩神」と呼ばれ,流麗な詩や宗教劇を多く残した。作品は『霊泉』 Inundación castálida (1689) をはじめ著作集全3巻に収録。

クルス
Cruz Cano y Olmedilla, Ramón de la

[生]1731
[没]1794
スペインの劇作家。下層階級の生態を精彩ある会話で綴った,サイネーテと呼ばれる一種の狂言で大成功を収めた。代表作は『マノロ』 Manolo (1769) 。

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世界大百科事典(旧版)内のクルスの言及

【スペイン演劇】より

…【乾 英一】。。…

※「クルス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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