クロノス・カルテット

デジタル大辞泉プラスの解説

クロノス・カルテット

アメリカの弦楽四重奏団。1973年にバイオリン奏者デイヴィッド・ハリントンを中心に結成。スティーヴ・ライヒ、フィリップグラス、テリー・ライリーら、実験的な現代音楽の演奏で知られるほか、ジミ・ヘンドリックス、ビル・エヴァンスなど、ロックジャズの作品の演奏も行っている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

クロノス・カルテット
くろのすかるてっと
Kronos Quartet

アメリカの弦楽四重奏団。バイオリニストのデビッド・ハリントンDavid Harringtonが1973年にシアトルで結成。最初の公式の演奏は、ノース・シアトル・コミュニティ・カレッジでのコンサートであった。
 オリジナル・メンバーは、ハリントン(第1バイオリン)、ジョン・シャーバJohn Sherba(第2バイオリン)、ハンク・ダットHunk Dutt(ビオラ)、ジョアン・ジェーンレナウドJoan Jeanrenaud(チェロ)。1999年チェロのジェーンレナウドがほかの活動に専念したいとの理由からカルテットをやめ、かわりにジェニファー・カルプJennifer Culp(チェロ)が新メンバーとして迎えられた。
 クロノス・カルテットは、世界的人気を誇るカルテットであり、そのレパートリーは中世・近現代の音楽から民族音楽、ジャズ、ロックまでジャンルを越えて実に600曲以上にのぼる。また、そのうちの450曲以上が、クロノス・カルテットのために作曲またはアレンジされたものである。彼らは、年に100回以上のコンサートを世界各地のコンサート・ホール、オペラ・ハウス、ジャズ・フェスティバル、ライブ・ハウスで行っている。また、つねに1日5~6曲のペースで作曲家からスコアが届き、有名無名にかかわらず、メンバーで丁寧に検証しているという。
 クロノス・カルテットを想定して書かれた作品、または彼らがレパートリーとする作曲家は数多く、そのうち一部の作曲者名、曲名を挙げると、ジョージ・クラムGeorge Crumb(1929― )『ブラック・エンジェルズ』(1970)、テリー・ライリー『平和のためのサロメ・ダンス』(1982)、ケビン・ボランズKevin Volans(1949― )『ホワイト・マン・スリープス』(1985)、フィリップ・グラス『ストリング・カルテットNo. 3「ミシマ」』(1985)、モートン・フェルドマンMorton Feldman(1926―1987)『ピアノと弦楽四重奏』(1985、高橋アキ(1944― )とクロノス・カルテットのために書かれた)、アルボ・ペルトArvo Part(1935― )『詩篇』(1986)、スティーブ・ライヒ『ディファレント・トレインズ』(1988)、ヘンリク・ミコワイ・グレツキ『ストリング・カルテットNo. 1「すでに日は暮れて」』(1988)、アストル・ピアソラ『ファイブ・タンゴ・センセーションズ』(1989)、ソフィア・グバイドゥーリナSofia Gubaidulina(1931― )『カルテットNo. 4』(1993)、ジョン・アダムズ『舞踏についてのジョンの書』(1994)など。
 1998年には、クロノス・カルテット結成25周年記念アルバム10枚組が発売された。2000年に発表したアルバム『クロノス・キャラバン』Kronos Caravanではタラフ・ドゥ・ハイドゥークスTaraf de Hadouks(1990― )と共演、譜面をもたないロマ民族とのセッションという意味で話題を呼ぶ。また、映画音楽にも積極的に参加している。グラスが新しく曲をつけた古典ホラー映画『魔人ドラキュラ』(作曲1999、映画制作年は1931)の演奏やダーレン・アロノフスキーDarren Aronofsky(1969― )監督『レクイエム・フォー・ドリーム』(2000)の音楽、サリー・ポッターSally Potter(1949― )監督の『耳に残るは君の歌声』(2000)の音楽などである。
 また受賞も数多い。ライヒの代表作『ディファレント・トレインズ』Different Trainsはグラミー賞の最優秀現代作品賞を受賞(1989)、アルフレッド・シュニトケAlfred Schnittke(1934―1998)の『弦楽四重奏曲全集』The Complete String Quartets(1998)はグラミー賞の最優秀クラシック・アルバムと最優秀室内楽演奏賞にノミネートされた。また『アフリカン・アルバム』(1992)は、ビルボードのクラシック部門とワールド・ミュージック部門のチャート第1位に、『アーリー・ミュージック』Early Music(1997)は、グラミー賞最優秀室内楽演奏賞と『ステレオ・レビュー』Stereo Review誌の年間最優秀アルバムに選ばれた。
 またクロノス・カルテットはノンサッチ・レーベルと専属契約を交わし、毎年のように次々とアルバムを発表。そのほかのアルバムにはライリーの『アダムのためのレクイエム』Requiem for Adam(2001)、ライヒの『トリプル・カルテット』Triple Quartet(2001)、『ヌエボ』Nuevo(2002)などがある。[小沼純一]

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