クロムとモリブデンとを同時に添加した鋼。高温強度を向上させる目的でつくられたこの種の鋼材は通常、耐熱鋼に分類される。狭義のクロムモリブデン鋼は、1%程度のクロムと0.15~0.3%のモリブデンとを添加し、0.2~0.45%の炭素を含有する、いわゆる低合金構造用鋼をいう。クロムとモリブデンとの添加により、無添加鋼の丸棒の約5倍の直径の丸棒まで焼入れ硬化可能となる。焼入れ後約650℃に焼き戻して、車軸など強靭(きょうじん)性を要求される部材に用いるが、クロム鋼の場合に焼戻し温度から徐冷されたときにみられる焼戻し脆性(ぜいせい)は、モリブデンの添加により著しく軽減される。
[須藤 一]
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…機械の機能的でかつ強度を必要とする部品に使用する鋼。いちばん安価なのは,いわゆるSC材と呼ばれる普通炭素鋼で,これにクロムとモリブデンを添加したクロム・モリブデン鋼(SCM材),さらに強靱(きようじん)さを上げるためにニッケルを加えたニッケル・クロム・モリブデン鋼(SNCM材)がこれに当たる。これらは肌焼鋼といわれ,おもな合金元素はクロム,モリブデン,ニッケルである。…
…機械構造部品に使用される強度と靱性(じんせい)をそなえた合金鋼。炭素量は0.1~0.5%で,これに少量のクロム(0.9~1.2%)を添加したクロム鋼,クロム(0.5~1.0%)とニッケル(1.0~3.5%)を添加したニッケル・クロム鋼,クロム(0.9~1.2%)とモリブデン(0.15~0.45%)を含むクロム・モリブデン鋼,さらにニッケル(0.4~4.5%),クロム(0.4~1.8%),モリブデン(0.15~0.7%)を含んだニッケル・クロム・モリブデン鋼がある。これらの合金元素はとくに焼入れ性と焼戻し性を調節するために添加される。…
…耐熱鋼はその主たる組織によって,フェライト系とオーステナイト系に分けられる。フェライト系耐熱鋼はクロム・モリブデン鋼から発展したものである。2.5%程度のクロムを含むクロム・モリブデン鋼は焼入れした後の焼戻しにおいて軟化しにくく,また400℃前後である程度の耐酸化性を有している。…
※「クロムモリブデン鋼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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