約400 ℃ 以上の高温度で使用するために,用途に応じて十分な耐食性と強度のいずれか一方または両方を有するようにつくられた一連の合金鋼.普通の鋼は,400 ℃ 以上に加熱されると強度が減少し,とくに一定の力を受けているだけでも時々刻々に変形が進行するクリープという現象が起こりやすくなり,また,酸化,そのほかの腐食現象もいちじるしくなる.耐熱鋼は,その使用温度や応力状態,雰囲気などに応じて,Cr,Mo,Ni,Alなどの合金元素を添加し,上記のような欠点を改良したもので,概して高温ほど合金元素量の多いものが用いられ,普通,その組織からフェライト(α)系とオーステナイト(γ)系とに分けられる.たとえば,火力発電用ボイラー管には,2.25質量% Cr-1質量% Mo鋼(α系)や18質量% Cr-8質量% Ni鋼(γ系)など,また蒸気タービンには,12質量% Cr鋼にMo,W,Nbなどを少量加えたもの(α系)などが,いずれも500~600 ℃ で10年以上の連続使用に耐えるものとして賞用されている.ガスタービンの部品,自動車エンジンの排気弁や加熱炉の部品などには,さらに高級なγ系耐熱鋼が用いられ,石油化学工業のリフォーマー管やクラッキング管には,0.4質量% C-25質量% Cr-20質量% Ni鋼などの耐熱鋼の遠心鋳造管が,1000 ℃ 近くの高温で数万時間の使用に供されている.[別用語参照]耐熱合金
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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…そのため金属の耐熱材料開発は耐酸化性の強化を主眼になされてきた。鉄に多種の添加物を加えて作られる耐熱鋼は,フェライト系,オーステナイト系に大別され,前者で650℃,後者で800℃まで実用に耐える。本来酸素との反応性が大きい金属に耐酸化性,高強度をもたせる添加物は以下のように働いている。…
※「耐熱鋼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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[1864~1915]ドイツの精神医学者。クレペリンのもとで研究に従事。1906年、記憶障害に始まって認知機能が急速に低下し、発症から約10年で死亡に至った50代女性患者の症例を報告。クレペリンによっ...
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