耐熱鋼(読み)たいねつこう(英語表記)heat-resistant(refractory) steel

  • heat resisting steel
  • たいねつこう〔カウ〕
  • 耐熱鋼 heat resisting steel

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

高温でも機械的性質が安定し,耐食性などのよい。炭素鋼は融点は高いが 500℃で急に強度が落ち,高温耐食性も悪いので,高温強度と高温耐食性保持のためニッケル Ni,モリブデン Mo,バナジウムV,チタン Ti,ニオブ Nb,タングステンW,および耐食成分クロム Cr,ケイ素 Siなどを添加した合金鋼。 500℃までは5 Cr,0.5Mo (以下数字は%) の鋼,650℃までは 13 Crおよび 18Cr-8Niのステンレス鋼などが使えるが,700℃になると Cr15~20,Ni15~30,Mo1~6にW,Nb,Tiを加えた特殊ステンレス鋼が必要で,これにはハイネス 88,ティムケン 16-25-6 (Cr-Ni-Mo) など種類が多い。これに Co20~30を加え,Mo,Wを増量した Co-Ni-Cr-Fe合金 (Fe15~25) は 750~800℃まで使用に耐える。これもリフラクタロイその他種類と名称が多い。用途により高温での耐クリープ,耐摩耗,耐食など要求が異なり,成分の寄与の仕方も複雑なので,温度耐性だけで性能は論じられないが,鉄基耐熱合金は一般にニッケル基,コバルト基の超合金より高温強度は劣る。

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百科事典マイペディアの解説

高温で強さを失わずまた耐食性にすぐれた鋼。クロム11〜13%およびモリブデンバナジウムなど少量を加えたフェライト系耐熱鋼,クロム15〜20%,ニッケル10〜25%およびモリブデンなどの少量を加えたオーステナイト系耐熱鋼に大別され,700℃以上の高温に対しては後者が用いられる。
→関連項目耐熱合金

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世界大百科事典 第2版の解説

大気中および高温における耐酸化性と,500~800℃におけるある程度の強度をもつように設計・製造された鋼。耐熱鋼はその主たる組織によって,フェライト系とオーステナイト系に分けられる。フェライト系耐熱鋼はクロム・モリブデン鋼から発展したものである。2.5%程度のクロムを含むクロム・モリブデン鋼は焼入れした後の焼戻しにおいて軟化しにくく,また400℃前後である程度の耐酸化性を有している。そこで,使用中に温度が上昇するような機械構造用部品のうち,過熱度の低い水蒸気ボイラー用のチューブとして使用されるようになった。

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化学辞典 第2版の解説

約400 ℃ 以上の高温度で使用するために,用途に応じて十分な耐食性と強度のいずれか一方または両方を有するようにつくられた一連の合金鋼.普通の鋼は,400 ℃ 以上に加熱されると強度が減少し,とくに一定の力を受けているだけでも時々刻々に変形が進行するクリープという現象が起こりやすくなり,また,酸化,そのほかの腐食現象もいちじるしくなる.耐熱鋼は,その使用温度や応力状態,雰囲気などに応じて,Cr,Mo,Ni,Alなどの合金元素を添加し,上記のような欠点を改良したもので,概して高温ほど合金元素量の多いものが用いられ,普通,その組織からフェライト(α)系とオーステナイト(γ)系とに分けられる.たとえば,火力発電用ボイラー管には,2.25質量% Cr-1質量% Mo鋼(α系)や18質量% Cr-8質量% Ni鋼(γ系)など,また蒸気タービンには,12質量% Cr鋼にMo,W,Nbなどを少量加えたもの(α系)などが,いずれも500~600 ℃ で10年以上の連続使用に耐えるものとして賞用されている.ガスタービンの部品,自動車エンジンの排気弁や加熱炉の部品などには,さらに高級なγ系耐熱鋼が用いられ,石油化学工業のリフォーマー管やクラッキング管には,0.4質量% C-25質量% Cr-20質量% Ni鋼などの耐熱鋼の遠心鋳造管が,1000 ℃ 近くの高温で数万時間の使用に供されている.[別用語参照]耐熱合金

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典内の耐熱鋼の言及

【耐熱材料】より

…そのため金属の耐熱材料開発は耐酸化性の強化を主眼になされてきた。鉄に多種の添加物を加えて作られる耐熱鋼は,フェライト系,オーステナイト系に大別され,前者で650℃,後者で800℃まで実用に耐える。本来酸素との反応性が大きい金属に耐酸化性,高強度をもたせる添加物は以下のように働いている。…

※「耐熱鋼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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